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今だからこそ思い出したい1998年「マシンガン打線」。DeNA打線から漂う復活の匂い

今だからこそ思い出したい1998年「マシンガン打線」。DeNA打線から漂う復活の匂い

 勢いに乗る広島をまさかの4連勝で下し、劇的な日本シリーズ進出を決めたDeNA。本稿が公開される頃にはソフトバンクと激戦を繰り広げているころだろう。

 DeNAにとっては横浜時代の1998年以来の日本シリーズ進出。この1998年の横浜は「マシンガン打線」の名を冠し、チームの全盛期といわれている。

 そもそも大洋時代の1960年と横浜時代の1998年しかリーグ優勝していないというイタマシイ事実はさておき、打線が躍進のカギを握る伝統がある。

 広島の機動力、阪神のダイナマイト打線などチームには好調の形がある。1998年の「マシンガン打線」を振り返り、DeNAの好調形を探ってみたい。

1998年のマシンガン打線


 1998年のマシンガン打線の主なスタメンを以下の通りだ。

■主なスタメン
1(遊撃):石井琢朗
135試合:打率.314/ 7本塁打/48打点/39盗塁

2(中堅):波留敏夫
106試合:打率.273/ 2本塁打/39打点/12盗塁

3(左翼):鈴木尚典
131試合:打率.337/16本塁打/87打点/ 3盗塁

4(二塁):ローズ
124試合:打率.325/19本塁打/96打点/ 2盗塁

5(一塁):駒田徳広
136試合:打率.281/ 9本塁打/81打点/ 0盗塁

6(右翼):佐伯貴弘
108試合:打率.289/ 9本塁打/55打点/ 1盗塁

7(捕手):谷繁元信
134試合:打率.254/14本塁打/55打点/ 1盗塁

8(三塁):進藤達哉
124試合:打率.241/14本塁打/54打点/ 0盗塁

■控え
右翼:中根仁
70試合:打率.301/ 4本塁打/31打点/ 2盗塁

中堅:井上純
71試合:打率.330/ 0本塁打/ 9打点/ 3盗塁

 チーム総得点642点(リーグ1位、136試合)を挙げたベイスターズの伝説的な強打線がコレだ。チーム最多本塁打はローズの19本塁打だったが、中距離打者が揃い、打ち始めると止まらない連打が持ち味だった。

 先発陣では野村弘樹、斎藤隆、三浦大輔が2ケタ勝利と奮闘。リリーフ陣は島田直也、五十嵐英樹から絶対的守護神・佐々木主浩にリレーする勝利の方程式が光った。

打線の年齢構成


 1998年のマシンガン打線は年齢的にも魅力にあふれていた。1998年末の時点で鈴木尚典が26歳、石井琢朗、波留敏夫、佐伯貴弘、谷繁元信、進藤達哉が28歳。脂の乗ってきた頃合いの野手が勢いを演出していた。今のDeNAと比べると共通点が見えてくる。

■1998年横浜と2017年DeNA:主なスタメンの年齢比較
1(遊撃):石井琢朗/28歳 |(中堅):桑原将志/24歳
2(中堅):波留敏夫/28歳 |(翼右):梶谷隆幸/29歳
3(左翼):鈴木尚典/26歳 |(一塁):ロペス/34歳
4(二塁):ローズ/31歳 |(左翼):筒香嘉智/26歳
5(一塁):駒田徳広/36歳 |(三塁:)宮崎敏郎/29歳
6(右翼):佐伯貴弘/28歳 |(二塁):柴田竜拓/24歳
7(捕手):谷繁元信/28歳 |(捕手:)嶺井博希/26歳、戸柱恭孝/27歳、?城俊人/24歳
8(三塁):進藤達哉/28歳 |(遊撃):倉本寿彦/26歳

(※倉本は9番だが、ここでは8番の新藤と比較)

 広島と同様、DeNAもちょうど勢いに乗りやすい年代で打線が構成されている。下位打線の迫力は1998年のマシンガン打線に軍配が上がるが、ここが底上げされれば、当時のようなビッグイニングを生み出すことが可能になるだろう。


二塁打数


 また、共通点はほかにもある。今年のDeNAはリーグトップの244二塁打を放っているが、1999年以来のリーグトップだ。

 二塁打数は例年、チーム順位やチーム打率とは別にある程度のバラツキが出る。たとえば昨年は3位の巨人が二塁打数トップだった。本拠地のパークファクター(と2000年代の暗黒時代)も関わるところだが、新マシンガン打線構築の匂いを感じさせる。

 また、マシンガン打線の全盛といわれるのは1999年だ。チーム打率.294、リーグトップの711得点を記録し、ローズが歴代2位の153打点を叩き出したが、残念ながらリリーフ陣が崩れて、首位・中日と10ゲーム差の3位に終わった。投手陣の出来は別として、現在の打線も上積みが見込めるのではないだろうか。


現在のDeNA打線に足りない要素は?


 来季の期待も高まるが、1998〜99年と比べて足りない部分もある。

 1999年は石井が39盗塁、波留が21盗塁と走れる上位打線だったが、今年のDeNAはチームでも39盗塁。石井ひとりで賄ってしまう数字だ。先述の通り下位打線もまだまだ物足りない。「8番・投手」を許さないラインに到達すれば、チーム打率.252も大幅に伸びるはずだ。

 マシンガン打線全盛期と比べるのはやや酷な気もするが、確かに復活の匂いはある。久々の日本シリーズを経て、「マシンガン打線を彷彿とさせる打線」から「新マシンガン打線」へ進化を遂げることはできるのだろうか!?


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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