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“おらが町”自慢の監督はこの人! 春高バレーにも甲子園にも導いた監督がいるって本当!?

 組み合わせ抽選も行われはじめ、“夏”がどんどん近づいてきた。開幕に向けて、どのようにチームを仕上げていくか、選手のコンディションをどう作っていくか……、指導者の腕の見せ所とも言える。

 今回はそんな高校野球監督・指導者について。各地区自慢の監督、また、これから注目してほしい! という監督を紹介していきたい。

高校野球監督の世代交代


 近年の高校野球監督のトレンドは「若返り」「元プロ監督」「転身」の3つだ。

 まずは「若返り」から触れていきたい。2008年の春に当時26歳の比嘉公也監督(沖縄尚学)が、同年夏は当時38歳の西谷浩一監督(大阪桐蔭)が優勝に導いたあたりから若い監督の活躍が顕著になってきた。「若さ」と「実績」という点で筆頭に挙がるのは作新学院の小針崇宏監督だろう。2009年に26歳で夏の甲子園に登場すると、2011年には4強入りし、2011年から昨年まで5年連続出場中。自慢の青年監督! というよりも、もはや全国的に有名な高校野球監督の一人といっても過言ではない。

 その他、各地方で期待されている若手監督では、2014年に就任し、3年目を迎える30歳の上田勇仁監督(学法石川)。思い切りのいい采配で聖光学院の連続甲子園出場記録を止められるか、注目されている。昨夏の甲子園、16年ぶりに出場した比叡山を率いるのはOBでもある河畑成英監督。2011年に就任してから、上位に進出することが多く、地元の人たちの期待度は高い。

 新進気鋭の若い指導者が多い九州については、『野球太郎』で九州地区を担当する加来慶祐氏の著書『先駆ける者〜九州・沖縄の高校野球 次代を担う8人の指導者』に詳しい。

人数も存在感も右肩上がり「元プロ監督」


 「元プロ監督」はアマチュア野球指導の規制が緩和されたことで、ますます増えてきている。今年春には東海大静岡翔洋の監督に元巨人の原俊介氏が、和歌山南陵には元大洋ほかで活躍した岡本哲司氏が、東日本国際大昌平の監督に伊藤博康氏がそれぞれ就任した。

 数多くいる中で話題が満載な監督が、九州文化学園を率いる、元オリックスの古賀豪紀(ひでとし)監督だ。


「最も特徴的なことは試合前にシートノックをしないことです。古賀監督は自分自身が選手時代から『なぜ試合前に7分間もノックをやるのだろう?』と思っていたそうです。理由は『選手を試合に集中させたい。普段からしっかりと練習をしているのに、暑い時には試合前に着替えとかでバタバタするし、シートノックで試合前にケガをさせない』という意味があるとのことです。

 いい意味で型破りな古賀監督は、他にもいろいろな施策を取り入れています。今年初めには姉妹校である韓国の白松高校と合同練習(キャンプ)を遂行。もちろん高野連の許可を得ており、オフシーズンに異例の交流試合も行いました。『韓国の選手は日本の甲子園などを知っているが、日本の選手は韓国の高校野球を知らない。だからこそ、こういう経験をすることで選手に視野を広げてほしい』とグローバル化の推進にも積極的な監督です」(熊本在住で『野球太郎』では中国・九州を担当するアストロさん)

春高バレーにも甲子園にも導いた監督がいる!?


 最後に取り上げたいのは「転身」した高校野球監督。まず、転身した代表例は、昨夏の甲子園にも出場した遊学館を率いる山本雅弘監督だ。

「ご自身では陸上やスキーを経験され、本格的な野球経験はありません。それでも星稜中野球部監督として名を馳せ、遊学館野球部創部とともに監督に就任。1年4カ月で聖地・甲子園へ導き、これまで春夏合わせて7回の甲子園出場を果たしています。挑戦・感謝・進化のもと、野球を追究する志が高く、パソコンを使った指導やアイデアを凝らした練習には定評があります」(石川県担当の森田公博さん)

 今春のセンバツでは、中学硬式の枚方ボーイズから秀岳館に移った鍛治舍巧監督、同じく青森山田シニアから青森山田に移った兜森崇朗監督、同じくオールスター福井から敦賀気比に移った東哲平監督、中学軟式の明徳義塾中から明石商に移った狭間善徳監督、同じく香川大教育学部付属坂出中から高松商に移った長尾健司監督と、中学野球の指導歴ある監督が多かったり、創志学園の長澤宏行監督は過去に女子ソフトボールを指導し、高校総体優勝を8度成し遂げていたり、滋賀学園を率いた山口達也監督は元宝飾品メーカーで営業をしていたり、と多彩な経歴を持つ監督が多く、軒並み好成績をおさめた。
(『中学野球太郎Vol.10』で中学野球から転身した監督特集を組んでいます!)

 女子ソフトボール指導歴がある監督というと、川越東の渡辺努監督や済美の乗松征記監督が全国大会出場の実績がある。男子と女子、野球とソフトボールという違いを越えて、長澤監督のような成果を挙げられるだろうか。

 他のスポーツの指導者としても、高校野球監督としても全国大会に導いた唯一無二の監督といえるのが、霞ヶ浦の?橋祐二監督だ。日本体育大卒業後、母校・霞ヶ浦に体育教師として戻ってきたものの、最初に就いた顧問はバレーボール部。もちろん野球部の指導を希望していたが、顧問の椅子が空かなかったのだ。

「未経験ながらバレーボールを勉強して19年間で新人戦県制覇2回、2001年には春高バレー茨城代表として全国の舞台を経験しました。そして、2001年4月に念願の野球部監督に就任。昨年の夏には就任15年目にして初の甲子園出場を果たしました。このように二つの異なる競技を指導し、その両方を全国に導いた方は他にはいないのではないでしょうか」(茨城県担当の伊達康さん)


 バレーボールの指導を経たからこそ、見識が広がった、スポーツ科学をもっと実戦的に取り入れることにつながったという。その指導のおかげで、昨秋にDeNAから指名された綾部翔のようなスケールの大きな選手が育っていくのだろう。


 来週は、地方ごとに、いや学校ごとに特色が出る“応援”について紹介します! お楽しみに!

構成=野球太郎編集部

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