昨シーズン、優勝を逃した巨人。渡邉恒雄最高顧問の「補強してねぇもん」という鶴の一声もありオフシーズンに大補強。史上初となる同一シーズンに3人のFA選手を獲得(陽岱鋼、山口俊、森福允彦)し、トレードでは先発左腕として吉川光夫を補強。新外国人選手として、2013年の楽天日本一に貢献したマギーを日本へと呼び戻すなどV奪回へ向けた本気度をうかがわせた。
多くの解説者が「巨人優勝」と予想するなか、シーズン開幕は開幕した。
ご存知の通り、開幕から頭ひとつ抜け出したのはリーグ連覇を狙う広島だった。エースのジョンソンで開幕戦を落としたものの、2戦目から引き分けを挟み10連勝。開幕12戦で10勝1敗1分とスタートダッシュに成功した。
そして、この「開幕2戦目以内からの10連勝以上」がなんとV確率100%の予兆なのだ。
「開幕2戦目以内からの10連勝以上」は、80年以上に及ぶプロ野球の歴史において過去に4度あった。それを成し遂げたチームはいずれも優勝している。
■開幕2戦目以内からの10連勝以上
1954年:西鉄(11連勝)
1955年:南海(10連勝)
1963年:巨人(13連勝) ※開幕2戦目から
1999年:中日(11連勝)
1999年の中日以来となる「開幕2戦目以内からの10連勝以上」を達成した広島。100%のV確率にあやかることができるか。
また、驚くことにもう1つ広島連覇を告げる吉兆がある。今シーズンは開幕10試合を8勝1敗1分で乗り越えたが、同様に開幕10戦で8勝以上したのは過去3度。その3度のうちで1敗しかしなかった1984年はリーグ優勝、日本一に輝いている。
■広島が開幕10戦で8勝以上、1敗以下のシーズン
1984年:9勝1敗(日本一)
2つのV確率100%のデータを追い風に広島が二連覇を目指す。
4月のデータという観点からは離れるが、楽天を率いる梨田昌孝監督にも触れたい。
5位に終わった昨シーズンから一転、今シーズンは開幕から快進撃を続けている楽天。
オフには西武から岸孝之をFAで補強し、先発陣を強化。ドラフトでは、高卒ドラ1の藤平尚真を一本釣りして未来のエース候補を獲得した一方で、中位、下位指名では菅原秀(4位)、森原康平(5位)、高梨雄平(9位)と即戦力の期待をする投手たちも指名した。そして、外国人投手としてハーバード大卒のハーマンを補強。彼らが早くも中継ぎ・セットアッパーとして活躍している。
投手陣を大幅にテコ入れした今シーズンは、1番・茂木栄五郎、2番、3番、4番に座る外国人選手、安打製造機の銀次、FA移籍2年目の今江年晶らによる強力打線も好調。投打がかみ合っている。
その強力打線と大幅に強化された投手陣をまとめ上げているのが就任2年目となる梨田監督だ。
梨田監督は近鉄、日本ハムに次いで3度目の監督就任。過去の戦歴を振り返ってみると就任2年目は近鉄、日本ハムともに優勝を果たしている。
「2度あることは3度ある」とばかりに、今シーズンの楽天も優勝に導くのだろうか。「梨田マジック」に期待したい。
■梨田昌孝監督の監督成績
近鉄
2000年:6位
2001年:1位
2002年:2位
2003年:3位
2004年:5位
日本ハム
2008年:3位
2009年:1位
2010年:4位
2011年:2位
文=勝田 聡(かつた さとし)