昨シーズンは3年連続のBクラスとなる5位に終わった楽天。ソフトバンクの対楽天の成績は16勝8敗1分。2015年も16勝8敗1分と全く同じ成績だった。
開幕シリーズこそ1勝1敗1分と苦戦したものの、昨シーズンを通して連敗は1度だけ。楽天が日本一になった2013年ですら、12勝12敗の五分。楽天ファンに怒られそうだが、去年までの楽天には怖さは感じていなかった。そう、去年までは……。
今オフ、楽天はFAで西武の岸孝之を獲得した。過去3年間、ソフトバンクの対岸の戦成績は3勝4敗。岸への苦手意識が強いわけではない。しかし、西武からロッテにFA移籍した涌井秀章が、移籍2年目の2015年にソフトバンク戦でシーズン5勝を挙げたように、移籍することでソフトバンクキラーと化ける可能性もある。
その不安が的中するとなると、岸の強いサポート役となりそうなのが「あるキャッチャー」の存在。そう。ソフトバンクを退団し、楽天に入団した細川亨だ。
今オフ、ソフトバンクはチームの若返りのため細川を戦力構想から外し、コーチ就任を要請した。しかし、細川はその要請を断り、現役にこだわった。
細川が西武からソフトバンクにFA移籍したのは、2011年のことだった。2010年、ソフトバンクは10勝14敗と西武に負け越していたが、細川が加入した2011年は15勝5敗と大きく勝ち越し、日本一に輝いた。
細川がマスクを被った効果はそれだけではなく、2006年から2010年の5年間で3度シーズン負け越しを喫していた西武に対し、細川加入後は昨季まで6年連続でシーズン勝ち越し。
南海、ダイエー時代からずっと負け続けていた西武への苦手意識がなくなったのは、細川のおかげともいえる。
その細川が楽天に移籍する。ソフトバンクの選手の特徴を知り尽くしている細川が敵にまわるのは、脅威以外の何物でもない。
今季、ソフトバンクと楽天の最初の対戦は、開幕2カード目にKoboパーク宮城で組まれている。そのとき、先発マスクは細川か? 侍ジャパンメンバーでもある嶋基宏か? 梨田昌孝監督の采配も気になるところだ。
文・溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。生まれも育ちも北海道ながら、ホークスファン歴約40年。