「インフレ、流行ってるからね!」
有名すぎる迷言だが、長嶋語録を紹介するにあたってウオーミングアップ的な意味を込めてあらためて紹介したい。
キャンプ中はインフルエンザが流行る時期でもある。そこで、記者の体調を心配しながら、さらには日本経済にも思いを馳せるかのように長嶋氏の口から出たのがこの言葉。インフルエンザもインフレーションも飲み込んだ、ミスタープロ野球らしいスケールの大きさを感じさせる。不況、イヤですからね……。
「こっちの子どもは英語がうまいなぁ」
アメリカ、ベロビーチキャンプを訪れた長嶋氏の迷言・珍言がコレ。アメリカの子どもが英語を話せるのは当然。「長嶋さんが日本語をしゃべれるのと一緒ですよ!」とツッコミたくなるのがこのひと言だ。
そんな長嶋氏にかかると英語でも迷言・珍言が。あるとき「I live in Tokyo.を過去形にしなさい」と問われ、「I live in edo.」と答えたとかなんとか……。
ちなみに「海外もの」では、マクドナルドを指して「アメリカにも進出しているんだね」、空港から外に出たときの「外車が多いな」というひと言もある。
「そう言えば、俺の誕生日は毎年、なぜかキャンプの時期だなぁ」
長嶋氏は2月12日生まれ。もちろんキャンプ中だ。誕生日は年に1回しかやってこない。しかも、誕生日は変わらない。長嶋氏の誕生日が毎年、キャンプの時期にあたるのは当然なのだが……。
ここから派生する珍言としては、「俺はまだ1度もバースデーアーチを打ったことがないんだけど、なぜなんだ?」というものもある。2月はシーズンオフですから……。ちなみに、この迷言・珍言はファンに「長嶋さんと同じ誕生日なんです!」と話しかけられた際に放たれたものだ。
「ずいぶん遠くから来たんだね。ヘリは持ってないの?」
静岡からやってきたファンを気遣うひと言の締めはまさかのヘリ! 有名人でも自家用ヘリコプターを持っているのは、ほとんどいないのでは……? ジェットコースター並みに上下動するアクロバティックな展開は、凡人には及びもつかない。
「春季キャンプ」というくくりを設けても、次から次へと出てくる長嶋語録。
しかし、選手としても監督としても「ここぞという場面」で結果を出し、華のあるプレーでファンを熱狂させ続けてきたからこそ、こういったギャップが親しまれているのだろう。
脳梗塞から立ち直り、80歳の傘寿を迎えてなお巨人のキャンプ地である宮崎に足を運ぶなど、今も元気な姿を見せてくれる長嶋氏。最近は、迷言・珍言は少し影を潜めているが、周囲を明るくさせる“ミスター語録”でも、まだまだみんなを楽しませてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)