白陵高(兵庫)時代から140キロ台を超える球速を誇りながら、公式戦ではわずか1勝に終わった田中。
京都大に進学してからは、1年春からリーグ戦で活躍。最下位が指定席の京大に在籍しながら8勝をマークするなど、そのポテンシャルが評価され、史上初の京大出身プロ野球選手が誕生した。
結果的には、プロ1年目の田中には、厳しい現実が待ち受けていた。
昨年4月24日、鎌ケ谷スタジアムで行われた日本ハム対ロッテの2軍戦。先発が齋藤佑樹と田中英祐ということで、知る人ぞ知る注目カードとなった1戦では、田中の苦悩ぶりを目の当たりにした。
田中は2回を投げて、5安打4失点と散々な内容。真っ直ぐを投げるか、変化球を投げるかの違いが、素人目にも一目瞭然の投球フォームで、投げた瞬間にストライクかボールか判別できるような、バラバラのリリースポイントも気になった。
高学歴の投手といえば、クレバーな投球スタイルをイメージするだろう。しかし田中はそうではなく、140キロ台後半の速球でグイグイと押す、気迫の籠もったピッチングが持ち味だ。
そのためには、しっかりと腕を振らなければならない。しかし昨季の田中はそれが出来ていなかった。秋季キャンプでも、フォームのバランスを崩していたというように、投球フォームに悩んだ1年目だったといえるだろう。
しかし2年目の今春キャンプで、田中はようやく復活の兆しをみせているという。ブルペン投球をチェックした伊東勤監督に及第点をもらうなど、投球に安定感が出てきたというのだ。
フィーバーぶりは、ようやく収束した感がある田中の2年目。あとは野球だけに専念できる環境で、どのくらい伸びるか。
戸惑うことも少なくなかった1年目を乗り越え、プロの水に慣れつつある田中の今シーズンに期待したい。
文=野球太郎編集部