5月も下旬に差し掛かり、プロ野球の開幕から2カ月程が経過した。これはドラフト会議まで残り5カ月となった、ということでもある。今年のドラフト候補たちはここまでどのような状況なのだろうか。大学生、社会人の注目選手をピックアップ。春の戦いぶりを追ってみた。
明治大の主将兼エースである森下暢仁が好投を続けている。この春のリーグ戦では4勝1敗、防御率1.66、43回1/3を投げて55奪三振と抜群の成績を残している。
なかでも5月11日の東大戦で10回、20奪三振(9回18奪三振)を記録した投球は圧巻だった。大差がついた試合ではなく、9回まで0対0と緊迫した試合展開のなかでの好投はさらなる自信になるはず。ドラフト1位候補として10月まで注目を集めることになりそうだ。
早稲田実時代に2学年下の清宮幸太郎(日本ハム)と中軸でコンビを組んでいた加藤雅樹(早稲田大)。高校時代は捕手だったが早稲田大進学後に外野手へ転向し、打撃面がさらに伸びた。2年春には首位打者、ベストナインを受賞している。
昨秋のリーグ戦では打率.227(44打数10安打)と苦しんだが、春は例年通りに絶好調。5月19日時点で打率.432(37打数16安打)、3本塁打、12打点という好成績を挙げ、打率ランキングのトップを走っている。
細身に見えるが、身長185センチ85キロと体格はしっかりしている。長打力を武器にドラフト指名を目指す。
早稲田大の加藤と首位打者を争っているのが、慶應義塾大の柳町達である。慶應義塾高から慶應義塾大に進学した柳町は1年春からレギュラーとなり、いきなりベストナインを獲得。
その後は大爆発するシーズンこそなかったものの、そこそこ安定した成績を残してきた。東京六大学リーグにおける一つの節目でもある通算100安打達成に向けてこの春は残り15本でスタート。慶早戦を前に14安打を積み重ねた。打率.424(33打数14安打)とランキングでも2位につける。ドラフト年度になり、成績を向上させた。
この記事が公開されるときには通算100安打を達成し、株を上げていることを願う。
昨年のドラフトで上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)、中川圭太(オリックス)と4人が指名された東洋大。今年もプロ注目の選手がいる。昨年、侍ジャパン大学日本代表にも選ばれた佐藤都志也である。
今春のリーグ戦では打率.311(45打数14安打)、1本塁打、3打点とまずまずの成績。「打てる捕手」としてチームを牽引している。聖光学院高時代にはプロ志望届を提出したものの、指名はなく涙を飲んだ。東洋大進学後は捕手以外に、一塁手としてもプレー。2年春には首位打者を獲得。2年秋には一塁でベストナインを受賞している。現在は捕手としての起用がメインだが、代表では外野の守備につくことも多い。
打てることは何よりもの才能だ。指名漏れから4年の時を経て、ドラフト上位でのプロ入りを目指す。
れいめい高時代から注目された太田龍(JR東日本)が、今年のドラフトで解禁となる。3年前に「九州四天王」として、ともに脚光を浴びた山本由伸(都城高→オリックス)、梅野雄吾(九産大九産高→ヤクルト)、浜地真澄(福大大濠高→阪神)はすでにプロで結果を残しつつある。とくに山本と梅野は侍ジャパンにも選ばれたほどだ。
太田は5月2日、日本ハム2軍との練習試合で好投、さらには5月16日に行われたHondaとのオープン戦で3回無失点と好投。5月22日から始まった都市対抗野球の東京都2次予選の直前に調子を上げてきたようだ。
大学生はそろそろ春季リーグ戦が終わり、大学選手権のシーズンとなる。一方の社会人は都市対抗野球2次予選がすでに始まった地区もある。残り5カ月、最後にアピールするドラフト候補は誰になるのだろうか。金の卵たちから目が離せない。
文=勝田聡(かつた・さとし)