ドラフト候補選手の魅力をたっぷりとお伝えする「2016ドラフト候補怪物図鑑」。
今年のドラフト会議での上位指名が濃厚な目玉選手9名と、来年のドラフト会議で要注目の3名を4週間に渡って徹底解剖。新人ライターの山岸健人さんが、『野球太郎』持木秀仁編集長に根掘り葉掘り質問しまくります。
この「ドラフト候補怪物図鑑」と『野球太郎No.020 ドラフト直前大特集号』(全国書店にて絶賛販売中)があればドラフト会議の予習はバッチリ!!
最終週となる今週は来年のドラフト会議で要注目の3選手を紹介!!
今回は今夏、侍ジャパン大学日本代表にも選出された東京大の好左腕・宮台康平投手。最高学府のエースとして文武両道を地でいく宮台投手の実力や如何に!?
山岸:宮台康平投手は、今夏の侍ジャパン大学代表に選ばれ、日に日に評価が上がっている印象です。東大だけに話題性が高いのはわかりますが、実際のところ実力はどうでしょうか?
持木:いいピッチャーなのは確かですが、東大でなかったら3年生の時点で、ここまで話題になっていなかったのでは? というのが本音ですね。
山岸:それでも来年のドラフト戦線の注目選手ではあると。
持木:はい。最速150キロのストレートを投げる左腕で、しかも「東大ブランド」という話題性もあります。上位指名を視野にいれる球団はあるでしょうね。
山岸:この夏は、侍ジャパン大学代表に選ばれた後、コンディション不良が伝えられました。代表チームでの疲労があったのでしょうが、体力面はどうでしょうか?
持木:秋のリーグ戦も9月9日にやっと初登板。大事に至る不安要素があればもちろん休まなければいけないですけど……。
山岸:ちょっともの足りないですか?
持木:多少の痛みには我慢して投げる気持ちもエースには必要ではないかと思います。精神面も、体力面も「まだ、これから」という感じがします。逆に言うと、まだまだ伸びしろがある、という見方もできると思います。
山岸:本気でプロを目指すなら、という話でもありますね。では、変化球はどうでしょう。スライダー、シンカーを使うようですが。
持木:シンカーのように見えるボールは、本人曰くチェンジアップのようです。カーブも球種としてはあるようですね。ただ、スライダー、カーブは持ち球の一つという感じでしょうか。チェンジアップに関しては、日米大学野球でもキレ、制球を評価するスカウトがいましたね。
山岸:宮台投手は東大法学部です。東大法学部といえば、中央官庁で働く人材も多く出しています。プロ野球の世界に進まず、他の道を選ぶという可能性もあるんじゃないでしょうか。
持木:まだ、本気でプロ野球の世界へ入りたいかがわからないですよね。もしどこかを故障したら、「僕は就職します」というかもしれません。
山岸:一般的な話としての質問ですが、東大出身のプロ選手となると、「活躍できなくても、将来、球団の幹部候補になってくれればいい」ということで指名することもあるのでしょうか?
持木:ストレートには言われないでしょうけど、そういう空気を察するんじゃないですか。今のところ、東大からプロに入った選手は、ほとんど球団職員になっていますし。
山岸:そうだったんですね。やはり「東大の頭脳」は球団職員としても魅力的だと。
持木:もちろんそうなんですが、宮台投手がプロに進むようなら「選手として活躍するんだ!」という覚悟を持って入団してもらいたいですね。
山岸:日米大学野球では2回2/3を投げ、5つの三振を奪いました。そのうち4つの三振はストレートで奪ったもの。力勝負でもいけそうです。
持木:メジャーの卵を相手に真っ向勝負を挑めるんですから、当然いいものがあります。あとはそれをいかに持続できるか、でしょうね。
山岸:技術面の課題などはありますか?
持木:細かな技術よりも、やはり体力面でしょうか。大学から即戦力でプロ入りする選手は、リーグ戦の同一カードで第1戦と第3戦に登板するのものです。この秋のリーグ戦途中ですが、宮台投手はまだ未経験なんですよね。来年は同一カードの第1戦と第3戦に登板する姿を見てみたいです。
すでに来年のドラフト1位候補と話す球団もあるほど注目される宮台投手。まだ未知数な点も多いが、左腕から繰り出す最速150キロのストレートは魅力だ。年々球速も上がっているだけに、さらなる進化も期待できる。来年のドラフトまでに、どこまで成長しているのか? また、どういう進路を決断するのか? 目が離せないピッチャーだ。
文=山岸健人(やまぎし・けんと)