日本代表の3勝2敗で幕を閉じた今年の日米大学野球選手権。その大会前に神奈川県平塚市で開かれた選考合宿で、代表チームを率いる横井人輝監督(東海大)がこんなことを言っていた。
「投手は、大きなカーブを投げる選手を選びたい。アメリカの選手はカーブが苦手と聞きますから」
抜群のキャプテンシーで大学日本代表を引っ張った柳裕也(明治大)は、どろんとしたカーブを巧みに操る。まさに横井監督が望むタイプのピッチャーだ。
実際、柳は2試合に登板。11回2/3を投げ、無失点。メジャー予備軍が並ぶアメリカ代表から計19個の三振を奪った。
第2戦では2回表の先頭から8者連続で三振を奪うなど、7回を投げ12奪三振の快投を見せた。三振の結果球を見ると、カーブで6個、速球で4個、スライダーとチェンジアップで1個ずつ。カーブの見逃しで3個の三振を奪った。
一度浮いてから落ちるカーブに、アメリカ代表の打者は最後までタイミングをつかめなかった。
今年のドラフトで上位指名確実といわれている柳だが、さすがに来年のWBCで日本代表に選ばれることはないだろう。
現在、NPBで活躍している選手でカーブの名手といえば、真っ先に挙がるのが岸孝之(西武)だ。2009年のWBCでは第一次メンバー候補には選ばれたが、惜しくも最終メンバー28人からは漏れた。近年、ケガが多い点は不安だが、岸のカーブは貴重な戦力となるはずだ。
ソフトバンクの攝津正はシンカーのイメージが強いが、時折投げるカーブも一級品だ。岸同様、攝津もケガが多く、来年の候補に入るかは微妙だ。
攝津のチームメート、武田翔太もカーブを決め球としている。重心の高いフォームは、アメリカの硬いマウンドでさらに威力を発揮するだろう。