プロ野球は後半戦が始まった。セ・リーグは巨人、パ・リーグはソフトバンクが抜け出しつつある。しかし、2位以下は両リーグとも競り合いが続いており、まだまだ順位争いは続いていくことだろう。
同時にペナントレース後半は、確固たる主力選手や新人以外は、来シーズンの契約へ向けてアピールが必要になってくる時期でもある。
とくに今シーズンの出番が少ない選手は後半戦で逆襲を見せたいところ。そんな逆襲劇を期待したい野手を取り上げてみた。
昨シーズン、自己最多となる96試合に出場した伊藤隼太(阪神)。しかし、今シーズンはいまだ1軍の試合に出場していない。大きな故障を抱えているわけではない。現にファームでは54試合に出場し、158打席に立っている。しかし、打率.193(140打数27安打)と結果が伴わず、声がかかっていないのが実情だ。
伊藤は中京大中京高から慶應義塾大を経て、2011年ドラフト1位で阪神に入団した。当初は慶大の大先輩である「高橋由伸(元巨人)二世」と称されるほど期待されていた。
今年は8年目のシーズンとなるが、高橋由伸二世とも呼ばれたドラフト1位の金の卵が、このまま終わってしまうのは寂しいものがある。今シーズンの阪神の外野はレギュラーを確保したルーキーの近本光司、糸井嘉男、故障離脱の期間もあったものの福留孝介の3人がメインで守っている。
糸井と福留はすでにベテラン。フルシーズンの出場を求めるのは少し難しい。そこで第4の外野手が必要になる。その枠を高山俊、陽川尚将、江越大賀らが争っている。伊藤もまずは2軍で結果を残し、第4の外野手争いに加わりたい。
身長163センチ──NPBで最も小さい男でもある水口大地(西武)の出番が、昨シーズンからがくんと減っている。2017年シーズンには代打や代走、守備固めといった途中出場がメインではあるものの56試合に出場し、打率.280(50打数14安打)とまずまずの結果を残した。
しかし、昨シーズンは10試合の出場に終わり、今シーズンも開幕1軍を勝ち取ったものの、わずか9試合の出場で5月12日に登録抹消。その後、1軍昇格の機会は訪れていない。
水口は四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズから2012年育成1位で西武に入団した苦労人。打撃ではなく、守備や走塁で光るタイプの選手である。山賊打線とも呼ばれる打力ある選手が並ぶ西武打線において、レギュラーを張るようなタイプではない。しかし、終盤の守備固めや代走として、起用したい選手だ。
シーズン終盤の勝負どころで破壊力ではなく、水口の小技、足、守備が生きる場面はきっとある。そのときまで爪を研いでおきたい。
水口のようなタイプの選手は強力山賊打線のアクセントになるはずだ。
昨シーズンオフに巨人から楽天へと移籍した橋本到。仙台育英高出身ということもあり、地元に戻ってきた格好だ。
今シーズンの橋本は開幕1軍を勝ち取り、出足好調に見えた。しかし出番はほとんどなく、ここまで11試合の出場に留まっている。5月19日の登録抹消以降は1度も昇格を果たしておらず、ファームで汗を流している状況だ。
楽天は上位争いに加わっており、これからの夏場は今まで以上に厳しい戦いが待ち受けている。2013年の日本一から6年が経ち、メンバーも大きく入れ替わった。そういう意味で修羅場をくぐってきた選手は多くない。
しかし、橋本は巨人時代に多くの経験を積んでいる。その経験を生かすためにも1軍へ昇格し、外野のレギュラー争いに加わりたい。
このようにここ数年の出番が減り、前半戦でも結果を残すことができていない選手たちは、この後半戦が勝負の時となる。ここで結果を残し、チームに貢献することができるだろうか。逆襲に期待したい。
(※成績は2019年7月24日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)