スタジアムで行われるイベントの多くは選手にフォーカスしたり、地域を盛り上げるものだ。また、ヤクルトの『燕パワー』、ソフトバンクの『鷹の祭典』といったチーム全体を盛り上げるイベントもある。しかし、今シーズンのヤクルトではそういったものだけではなく、海外から大物を招き、マスコットのつば九郎が主役となるイベントが催されるのだ。
5月2日、3日の中日戦でメジャーリーグのフィリーズからマスコットのフィリー・ファナティックを招いて、つば九郎とパフォーマンスの共演を行うという。フィリー・ファナティックはメジャー30球団のマスコットの中でもっとも人気があるいわれており、マスコットの殿堂である「Mascot Hall Of Fame」入りも果たしている。つば九郎との共演は、まさに野球マスコット界の日米頂上決戦と言っても過言ではない。
また、フィリー・ファナティックは広島のスラィリーとそっくりなことでも有名だ。その歴史を辿ると1978年に誕生したフィリー・ファナティックに対し、スラィリーの誕生は1995年と17年も後発。ともに『セサミストリート』のキャラクターデザインで知られるハリソン・エリクソン社が手がけており、そのために似通ったデザインとなっている。マツダスタジアムでスラィリーを見つけたアメリカ人の観客が、驚きをSNSでアップすることもあるほどだ。
このイベントで、フィリー・ファナティックはどんなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。果たして、つば九郎のフリップ芸は通じるのだろうか。興味は尽きない。
選手が打席に向かう際に流される出囃子。いわゆる登場曲のことだ。何年も同じ曲を使い続ける選手もいれば、毎年のように変える選手もいる。また、選手によってはオリジナルの曲を作られることもある。
ヤクルトでは秋吉亮の登場曲を足立新田高時代の先輩であるSEitaが手がけたり、山田哲人の登場曲をGReeeeNがプロデュースしている。球界を見渡すと黒田博樹が広島に復帰した際は、その登場曲をB’zが手がけ、大きな話題となった。
黒田と同じくメジャーから帰ってきた青木宣親は、登場曲をGLAYのTAKUROに依頼しているという。オープン戦ということもあり、現時点でのお披露目はないが、楽しみなコラボのひとつだ。
毎年恒例となった巨人との『TOKYOシリーズ』。神宮球場、東京ドームとともに東京に本拠地を置く2球団で行われているコラボイベントだ。2015年から開催されているこのイベントは、ここまで9勝9敗と両者譲らない展開となっている。
今年の『TOKYOシリーズ』は伝統芸能「歌舞伎」とコラボレーション。松竹が監修し、歌舞伎をテーマとしさまざまな演出を手がけるという。「歌舞伎×野球」がどのようにコラボで表現されるのか注目したい。
今年の勝ち越しチームがそのまま通算成績でも勝ち越すことになる。誰が千両役者となり、試合を決めてくれるのだろうか。
今回紹介したイベントはほんの一例ではあるが、今年も様々な形でのコラボレーションが行われる。野球以外の部分でも現地観戦を楽しんでいきたい。
(※情報は2018年3月19日現在、詳細は球団オフィシャルページをご覧ください)
文=勝田聡(かつた・さとし)