高校野球はセンバツ切符をかけた秋季大会真っ盛り。一方ではドラフト会議が目前に迫り、高校生有力ドラフト候補の動向に注目が集まっている。連載企画『高校野球最前線・秋の陣』では高校野球のホットな情報を追っていく。
2017年のセンバツ決勝での敗戦、2018年夏の大阪大会での逆転負けなど、要所で大阪桐蔭(大阪)に苦杯をなめされられることが多かった履正社(大阪)。
しかし、10月14日の秋季大阪府大会決勝でついにライバルを撃破。先発の植木佑斗の好投が光り、5対2で快勝した。公式戦36連勝中の王者・大阪桐蔭を止めた今回の勝利が、高校野球新時代の序章となるか。
北信越大会で衝撃が走った。準々決勝の星稜(石川)対松本第一(長野)の一戦で、星稜のエース・奥川恭伸が10者連続三振という離れ業を演じたのだ。
奥川は初回から4回の先頭打者までの10人を手玉に取った。11人目がセーフティーバントを試みてアウトとなったことで快記録がストップしたが、手も足も出なかった松本第一ナインがバントを選択したことはやむを得ないか。
今夏の奥川は甲子園後のBFA U-18アジア選手権の代表に2年生で唯一選ばれた。国際大会で得た経験を、見事に発揮したといえるだろう。来秋のドラフト戦線で注目されるのは間違いない。
プロ志望届を提出し、晴れてプロ野球への挑戦を表明した吉田輝星(金足農)。甲子園の快進撃から続く協奏曲は、まだまだ終わりそうにない。
一方、志望届を出さなかった有力選手もたくさんいる。野尻幸輝(木更津総合)、小泉航平(大阪桐蔭)、日置航(日大三)らBFA U-18アジア選手権に出場した侍ジャパンU-18代表勢。二刀流で注目された大谷拓海(中央学院)、高校通算50本塁打の森下翔太(東海大相模)……。
彼らは大学や社会人で自分を磨くことを選択したわけだが、数年後に、先にプロ入りしたライバルたちと人生が交差する日を楽しみにしたい。
絶対王者・大阪桐蔭が敗れたことで、風雲急を告げそうな高校野球界。群雄割拠の時代へと突入するのか、それとも大阪桐蔭が巻き返すのか。はたまた圧倒的な存在が現れるのか。
大阪桐蔭の“大横綱時代”を十分に堪能した筆者としては乱世を見たいと思っているのだが……巻き返しを図る大阪桐蔭がそう簡単に道を譲るとも思えない。ますます目が話せない高校野球を引き続き追っていきたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)