前年の日本一から2015年にバトンを受けた工藤監督。
「誰がやっても優勝できる」と揶揄されるなか、大きなつまずきもなく交流戦勝率1位にリーグ制覇。そして日本一に輝いた。
「選手たちが頑張ってくれた」
その手柄を選手のおかげと語った工藤監督だが、伸び悩んでいた武田翔太が13勝を挙げたのをはじめ、先発投手の投球回数が大幅にアップ。そのおかげで中継ぎの負担も減り、逆転負けが減少。
さらに「ピッチャーから見て嫌な攻撃」をモットーに、前半での送りバントを減らし、ヒットエンドランも右打ちにこだわらずフルスイングを指示。これまで非力と思われていた選手が次々と本塁打や長打を放ち、まさに全員野球でペナントリーグを駆け抜けた。
3連覇を目指す今季はシーズン40完投を目標に掲げ、夏場を乗り切るため若手投手のトレーニングを強化。
ところがその夏場になって投手陣が不調。交流戦終了時で5勝0敗だった東浜巨が、その後2勝6敗(8/22現在)。同じく武田も8勝1敗(交流戦終了時)から3勝5敗(交流戦終了から8/22まで)と大きく数字を落としており、シーズンを通しての調整が失敗したと言われても仕方がない。
打線も交流戦で打ちまくった城所龍磨が後半戦では残念な結果になったほか、チャンスは作っても得点までつながらない。プレーしている選手達も思っているだろうが、見ているファンもイライラする試合が続き、7月は負け越し。
そして8月18日、京セラドームで行われた「鷹の祭典」で西武に敗れ、日本ハムに勝率1厘差まで追い詰められた。
負ければ首位陥落。3連敗なら日本ハムにマジックも点灯という、敵地・札幌ドームでの対日本ハム3連戦。
初戦はエース・和田毅が気迫溢れるピッチングを見せ3対0で勝利。続く2戦目は1点をリードされた8回表、クリーンアップの3連打で逆転。2連勝で首位を堅守した。
しかし、勝てばマジック点灯の3戦目は、前日に殊勲打を放った長谷川勇也を先発から外した打線が4安打2得点。岩嵜翔に代わって登板した飯田優也が崩れ2対4で敗戦。またもやマジックはお預けとなった。
王貞治監督の初優勝年(1999年)も、秋山幸二監督の最終年(2014年)も、後半にもたつきながら最後の最後で底力を発揮し、リーグ制覇を達成した。
残り30試合を切ってからの本当の戦い。
「終わってみたらやっぱりソフトバンクは強かった」
となるのか。それとも……。
工藤監督の本当の真価が問われる。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。札幌で広告代理業を経営。ライター、MC、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。夏休みは一人息子と大阪へ。甲子園で準々決勝の北海高校戦を観戦。見事勝利で大喜びするも、夜の京セラドームではホークス敗戦にずっこける、40年以上のホークスファン。