金子がいない
ブランコも平野佳寿もいなくなった。
でも、オリックスにはブルとベルがいる!
優勝候補の本命に推す人も多かった今季のオリックス・バファローズ。ところが、蓋を開けてみれば9戦して、わずか1勝と最下位爆走中(以下、今季の成績については4月6日現在)。開幕からまだ10日ほどとはいえ、誰がこの展開を予想しただろうか。
投手陣は決して悪くはない。エースの金子千尋が開幕に間に合わず、抑えの平野佳寿が登録抹消された状況において、よく踏ん張っているといってもいいかもしれない。
むしろ問題は大補強したはずの打撃陣だ。アメリカ帰りの中島裕之の打率.250はまだいい方で、FA補強した小谷野栄一は打率.152。DeNAから移籍してきたトニ・ブランコは打率.067と苦しみ、左膝の故障もあって4月1日に登録抹消された。加えてキャプテン糸井嘉男も打率.147に届かない絶不調で、チーム打率.198で2割に届いていない状況は「緊急事態」と言ってもいい。
こんな時こそ必要なのが、パワーの源「ニコボール」だ。ファンが今まで以上に声援を送ってニコボールを作らなければ、選手に力が沸いてこないはずなのだ。
え? ニコボールを知らない???
そんな読者のために説明しよう! ニコボールとは、球場に集まったオリックスファンの笑顔、声援、勝利を願う思いなどが形になった、さまざまな色のボールのこと。このニコボールを球団マスコットのバファローベルとバファローブルの2体が体内に取り込み、選手に届けることで、その選手は元気100倍になるのだ!
なぜ、そんなことが可能なのか、といえば、ブルとベルはロボット型マスコットだから。京セラドーム大阪地下の研究所にはブルとベルのしっぽからニコボールを収集する「ニコマシーン」なるものも存在する。
この設定は、2011年に「オリックス・バファローズ改造計画」と称し、球団旗・ユニフォーム・ペットマーク・ロゴマークを全て一新した際に端を発する。この時、20年に及ぶ球団の歴史をデータとして記録・解析するために、球場地下の資材庫にあった素材を元に自動解析マシン「八カセ」を製作。その八カセが勝手に作った牛型ロボットがブルとベルの2体なのだ。
ブルとベルの2体は、京セラドームでの活動はもちろんのこと、近隣の幼稚園を慰問したり、さまざまなメディアに露出したりと多方面で活躍。球場に訪れるファンを増やすことで、よりたくさんのニコボールを集めることを使命としていた。
ところが、バファローベルが「かわいすぎるマスコット」として注目を集めるようになった頃から状況が一変してしまう。以前はロボット的なカクカクした動きを見せることもあったのだが、かわいらしさを優先して自然な振る舞いをするべく、ロボットという設定をなかったことにしてしまったのだ。