アイドルやモデル出身のプロ野球選手の妻は多い。その中で近年もっとも世間を驚かせたのは、田中将大(ヤンキース)の妻となった里田まいの覚醒だろう。
今や良妻と知られる里田だが、2012年1月の結婚当時は「おバカアイドル」全盛期。里田もその潮流に乗り、おバカ発言をテレビで繰り返していた。
結婚の一報を聞いた田中の恩師・野村克也監督(当時)はため息をついていたが、実はファンもそんな心境だったことに疑いはない。
しかし、結婚を機に里田は猛烈に良妻に変身。「ジュニア・アスリートフードマイスター」の資格を取得し、ブログにも頻繁に食卓風景をアップ。我々の勝手な心配を見事に吹き飛ばし、今も球場で熱心に夫を応援する姿を見せている。
里田さん、疑って申し訳ございませんでした。
今年、25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島。その歓喜の中でひときわ注目を集めた“良妻”は緒方孝市監督の妻・かな子夫人だろう。
現在は広島を中心にタレント活動しているが、1990年代に人気を誇った元グラビアアイドル。中條かな子の芸名で一世風靡した。
今なら確実に心配にさせられそうな経歴だが、こちらも献身的なサポートを続け、今シーズンの緒方監督の変身には、かな子夫人の助言があったことを知らないカープファンはいないほど。
なかには「MVPはかな子夫人だ!」と断言する熱心な信者もいるほどだ。
なんとも勝手な話だが、やはりプロ野球選手とアスリート妻の結婚報道を見ると、「子どもは確実にすごい選手になるぞ!」などと言いはじめるのはプロ野球ファンの性だろうか……。
事実、プロ野球選手の母はアスリートが少なくない。たとえば、大谷翔平(日本ハム)は父が社会人野球まで進み、母が高校時代にバドミントンで国体出場という優れたアスリート遺伝子を受け継いでいる。
世間をアッと驚かせたプロ野球選手とアスリートの夫婦で、まず筆頭といえるのは谷佳知(元オリックスほか)と谷亮子(元柔道選手)だろう。
谷佳知は1996年にアトランタ五輪で銀メダル、2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得。谷亮子も旧姓・田村の時代を含め、五輪で2つの金、2つの銀、1つの銅メダルを獲得。夫婦合計で7個のメダルは後にも先にもなかなかない快挙だろう。
そのほかにも江草貴仁(広島)と「世界最小・最強セッター」竹下佳江(元バレーボール選手)、ダルビッシュ有(レンジャーズ)と山本聖子(元レスリング選手)などが大物アスリート夫婦といえるだろう。
ちなみに田中将大の妻である里田まいも高校時代はソフトテニスで全国大会優勝を果たしており、運動神経には定評がある。
アイドル妻もアスリート妻も「戦い」を知る強い女性たち。プロ野球選手の闘争心と、その「向かう先」を人一倍理解できるのかも知れない。
文=落合初春(おちあい・もとはる)