しかし、勝負どころを迎えた犬鷲軍団には、戦々恐々の対戦カードが待ち構えている。7月22日から始まる3位・ロッテ戦だ。
Aクラス入りをかけた真夏の戦いを制するには、3位・ロッテとの戦いが肝心。7月17日現在、3位との間に横たわる10.5ゲーム差も、一時期は借金15を抱えた事態も、全ては「逆転のロッテ」の奔流に飲み込まれたことが原因なのだから。
ロッテ戦は単なる3位・4位対決ではない。楽天の命運、生殺与奪を握る対戦になっている。それほどまでに、下記3試合の敗戦が与えたアンビリーバブルな衝撃は、大きな意味を持っている。
5月5日 8対15(Koboスタ宮城)
5月14日 12対13(QVCマリンフィールド)
5月15日 8対9(QVCマリンフィールド)
この3試合の衝撃的な負け方を振り返ってみよう。
5月5日のゲームは、楽天先制、ロッテ同点、楽天勝ち越し、ロッテ同点、ロッテ勝ち越し、楽天逆転、ロッテ同点、楽天勝ち越し、ロッテ大逆転……。猫の目のように戦況が移り変わった。
終盤に4番・ウィーラーのグランドスラムで逆転したのも束の間、直後に試合は振り出しに。すぐさま松井稼頭央のソロ弾で勝ち越しを決めたが、9回になんと8失点。松井裕樹が炎上した。
両軍34安打25得点の乱打戦となった14日のゲームでは、10年ぶりの9連敗という「禁門の扉」を開けることに……。
5回表終了時には4点リード。しかし、またもや逃げ切ることができなかった。追いつかれた7回以降は、ロッテ自慢のリリーフ陣が零封リレー。10回裏には松井裕がロッテの代打・井口資仁にサヨナラ打を浴びる。12得点しながら負けたのは球団史上初のことだった。
翌15日も楽天が4回表までに5点リード。しかし、6回に連続押し出し、満塁被弾など大量7失点。延長11回裏に松井裕が持ちこたえられず、2試合連続のサヨナラ負けを喫した。
この試合は、星野仙一副会長が現地観戦。その姿をとらえた中継カメラには、顔面に青筋立つ「鬼の形相」が写っていた。
7月22日からの本拠地3連戦は、あの衝撃以来、約2カ月ぶりとのロッテとの対戦になる。
東北から奇跡のドラマを紡ぎ出すには、鴎軍団へのリベンジが最低条件。正直、ハラハラドキドキの試合展開はお腹いっぱい。投手陣が試合を作る引き締まった好ゲームを期待したい!
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。