注目したいのは18本塁打という中谷の長打力だ。阪神はホームの甲子園の広さと独特の浜風もあり、1985年に掛布雅之が40本塁打を放ってから、長きにわたって「生え抜き20本塁打」が出ていないことで有名だ。
当然ながら、20本塁打、10本塁打の難易度も高い。ラッキーゾーンが撤廃され、現在とほぼ同条件になった1992年以降の生え抜き10本塁打以上の選手をまとめてみた。
■1992年
八木裕:21本塁打
新庄剛志:11本塁打
■1993年
新庄剛志:23本塁打
■1994年
新庄剛志:17本塁打
■1995年
なし
■1996年
桧山進次郎:22本塁打
新庄剛志:19本塁打
■1997年
桧山進次郎:23本塁打
新庄剛志:20本塁打
■1998年
桧山進次郎:15本塁打
■1999年
新庄剛志:14本塁打
■2000年
新庄剛志:28本塁打
■2001年
濱中治:13本塁打
桧山進次郎:12本塁打
■2002年
濱中治:18本塁打
今岡誠:15本塁打
桧山進次郎:13本塁打
■2003年
桧山進次郎16本塁打
今岡誠:12本塁打
濱中治:11本塁打
■2004年
今岡誠:28本塁打
桧山進次郎:18本塁打
■2005年
今岡誠:29本塁打
■2006年
濱中治:20本塁打
鳥谷敬:15本塁打
■2007年
林威助:15本塁打
鳥谷敬:10本塁打
■2008年
鳥谷敬:13本塁打
■2009年
鳥谷敬:20本塁打
桜井広大:12本塁打
■2010年
鳥谷敬:19本塁打
■2011年
なし
■2012年
なし
■2013年
鳥谷敬:10本塁打
■2014年
なし
■2015年
なし
■2016年
原口文仁:11本塁打
ご覧の通り、かなり寂しい一覧となってしまった。しかし、20本塁打を達成した生え抜きは八木裕、新庄剛志、桧山進次郎、今岡誠、濱中治、鳥谷敬の6人。阪神で一時代を築いた選手ばかりだ。つまり、中谷も歴史から見れば、あと2本でスターロードに乗ることになる。
また気になるのは甲子園での本塁打数。中谷はここまで7本塁打(46試合)を甲子園で放っており、単純計算でいけば全試合甲子園での開催だったとしても20本塁打を打てる割合だ。
打撃の確実性では虎党の疑念はまだ残るが、数字と歴史はその迫力を物語っている。20本塁打まであと2本。第一段階をクリアし、真のスターへの道を歩みたい。
(成績は9月3日現在)
文=落合初春(おちあい・もとはる)