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20本塁打目前の中谷将大(阪神)から見える「生え抜き20本=阪神・スーパースターの法則」


 「育てながら勝つ」をコンセプトに奮闘する今年の金本阪神。9月3日時点で68勝52敗1分。広島と6.5ゲーム差の2位につけており、上々の成績といえるだろう。

 しかし、今季は期待の若手の伸び悩みも目立っている。期待された北條史也、高山俊、原口文仁の調子が上がらなかった。

 それでもこの順位を維持しているのは新たな戦力が出てきたからだ。なかでも頭ひとつ抜けているのが中谷将大だ。

 2010年に福工大城東高からドラフト3位で入団し、今季が7年目。112試合に出場して打率.246、18本塁打、52打点の成績を残しており、4番に座る試合もあった。

20本塁打は阪神生え抜きでは偉業クラス


 注目したいのは18本塁打という中谷の長打力だ。阪神はホームの甲子園の広さと独特の浜風もあり、1985年に掛布雅之が40本塁打を放ってから、長きにわたって「生え抜き20本塁打」が出ていないことで有名だ。

 当然ながら、20本塁打、10本塁打の難易度も高い。ラッキーゾーンが撤廃され、現在とほぼ同条件になった1992年以降の生え抜き10本塁打以上の選手をまとめてみた。

■1992年
八木裕:21本塁打
新庄剛志:11本塁打

■1993年
新庄剛志:23本塁打

■1994年
新庄剛志:17本塁打

■1995年
なし

■1996年
桧山進次郎:22本塁打
新庄剛志:19本塁打

■1997年
桧山進次郎:23本塁打
新庄剛志:20本塁打

■1998年
桧山進次郎:15本塁打

■1999年
新庄剛志:14本塁打

■2000年
新庄剛志:28本塁打

■2001年
濱中治:13本塁打
桧山進次郎:12本塁打

■2002年
濱中治:18本塁打
今岡誠:15本塁打
桧山進次郎:13本塁打

■2003年
桧山進次郎16本塁打
今岡誠:12本塁打
濱中治:11本塁打

■2004年
今岡誠:28本塁打
桧山進次郎:18本塁打

■2005年
今岡誠:29本塁打

■2006年
濱中治:20本塁打
鳥谷敬:15本塁打

■2007年
林威助:15本塁打
鳥谷敬:10本塁打

■2008年
鳥谷敬:13本塁打

■2009年
鳥谷敬:20本塁打
桜井広大:12本塁打

■2010年
鳥谷敬:19本塁打

■2011年
なし

■2012年
なし

■2013年
鳥谷敬:10本塁打

■2014年
なし

■2015年
なし

■2016年
原口文仁:11本塁打

 ご覧の通り、かなり寂しい一覧となってしまった。しかし、20本塁打を達成した生え抜きは八木裕、新庄剛志、桧山進次郎、今岡誠、濱中治、鳥谷敬の6人。阪神で一時代を築いた選手ばかりだ。つまり、中谷も歴史から見れば、あと2本でスターロードに乗ることになる。

 また気になるのは甲子園での本塁打数。中谷はここまで7本塁打(46試合)を甲子園で放っており、単純計算でいけば全試合甲子園での開催だったとしても20本塁打を打てる割合だ。

 打撃の確実性では虎党の疑念はまだ残るが、数字と歴史はその迫力を物語っている。20本塁打まであと2本。第一段階をクリアし、真のスターへの道を歩みたい。

(成績は9月3日現在)


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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