沖縄尚学高では1年春からベンチ入りし、3年のセンバツでは9年ぶりの優勝に導いた東浜。亜細亜大に進学後は、東都大学リーグ通算完封記録を22に更新するなどエースとして活躍した。2012年ドラフト会議で即戦力の期待も大きく、ソフトバンク、西武、DeNAが競合した末、ソフトバンクでプロの道を歩むことになった。
しかし、ここから苦しんだ。ルーキーイヤーは完封勝利こそ挙げたものの、5試合の登板で3勝1敗、防御率2.83。2年目の2014年は7試合2勝2敗、防御率3.82。3年目の昨季は6試合1勝2敗、防御率4.82と年々成績が下がっていった。
迎えた今季。ここまで7試合に登板し4勝0敗、防御率2.34。42回1/3の投球回は早くも過去3年を超えて、1軍でのプロ入り最多イニングとなる。まだ規定投球回に達していないが、被打率は.163と現在の数字をキープしながら規定投球回に達すればパ・リーグダントツの成績だ(リーグトップはバンデンハークの.202)。
大きく崩れたのは5月19日、日本ハム戦の6回途中4失点で降板した試合くらいで、ほかの試合では先発の役割を果たしている。5月27日のロッテ戦では8回を被安打4、奪三振6、無四球で無失点に抑え、球数も95球しか要さなかった。
今季の東浜は、昨季までと比べ速球に力強さが、ツーシームにキレが増したように見える。ふらついていた下半身にも安定感が生まれ、ボールを低めに集められるようになった。即戦力との呼び声が高かった東浜にとって、ここまで3年かかったのは遠回りだったかもしれない。ようやくプロらしくなった東浜の投球を楽しみたい。
質量ともに豊富といわれるソフトバンクだが、それだけで勝てるわけではない。戦力を存分に生かす工藤公康監督の采配あってこそだ。
例えば、打線。昨季は3番柳田悠岐、4番内川聖一、5番李大浩、6番松田宣浩の中軸をほぼ全試合で固定し、ほかの打順で選手を競わせた。李大浩がMLBに移籍した今季は、3番柳田、4番内川以外は流動的だったが、4月中旬から5番松田、6番中村晃になり、5月頭からは5番長谷川勇也、6番松田、7番中村と3〜7番は固定されるようになった。
昨季同様、今季も1、2番は日替わりになっているが、そのなかで目立っているのが13年目の城所龍磨だ。これまでの城所は守備代走要員として起用されることが多かったが、今季は5月18日の日本ハム戦で代打として出場し、実に9年ぶりとなる本塁打を放った。その後はスタメンとして起用されることも増え、6月3日の広島戦で今季2本目の本塁打。城所が1シーズンで2本以上の本塁打を記録したのは初めてである。ここまで49打席に立ち、自己最多打席数だった2006年の74打席を更新する勢いだ。