高校野球の“イマ”にクローズアップしていく「高校野球最前線」。夏の甲子園が記念の100回大会を迎えることで、今夏は例年以上に注目度が高まっている。「週刊野球太郎」では、メモリアルイヤーを楽しむための高校野球情報をお届けしていく。
いよいよ夏の甲子園に向けた各地の選手権大会がスタート。口火を切った沖縄大会の初戦では、春季沖縄県大会優勝の未来沖縄が沖縄工を7対0のコールドで下し、万全のスタートを切った。
未来沖縄の注目選手は「4番」「遊撃手」「投手」の三役を兼ねる宜保翔。投げては、この日最速の144キロの速球を軸に5回を3安打無失点に抑え、打っては4打数2安打で得点に絡む活躍。投打にポテンシャルを見せ、集まったプロのスカウトをうならせた。
4番、遊撃手、投手の三役をこなす高校球児といえば、今年は根尾昂(大阪桐蔭)だが、新たなスター誕生の予感が漂う。
その沖縄大会では、夏の選手権大会として初めてタイブレーク制が導入されたことも話題となった。適用試合となったのは八重山商工対南部工の一戦。延長12回で4対4と決着が付かなかったことからタイブレーク制で決着をつけることとなった。
13回以降は無死一、二塁から始まるタイブレーク制。まず、先攻の八重山商工は好機を生かせず無得点に終わる。13回裏、南部工は1死満塁にチャンスを広げ、4番・上原大雅がセンターにサヨナラ犠牲フライ。ワンチャンスをものにした。
投手の健康管理の解決策として導入されたタイブレーク制。今夏は各地でタイブレーク制をめぐる新たなドラマが生まれることだろう。
沖縄と同時に開幕した南北の北海道大会だが、支部大会から動向を追うのはなかなか大変だ。そこで甲子園での躍動も期待したいプロ注目の5人をリストアップしたい。
■北北海道
沼田翔平(投手/旭川大高)
身長175センチ体重63キロの痩身ながら、最速145キロの速球を投じる本格派右腕。
石橋翔(投手/武修館)
好不調の波は大きいが、ツボにハマったときのプレーはまさに投打ともに圧巻。
吉田将伍(一塁手/旭川実)
184センチ92キロという恵まれた体格の持ち主。規格外のパワーが描く放物線を見よ。
■南北海道
菊地吏玖(投手/札幌大谷)
投手としては140キロ超えの本格は右腕、打者としては左の大砲として活躍する二刀流選手。
新出篤史(捕手/函大有斗)
高校生離れしたスローイング、豪快なスイングは魅力たっぷり。
南北それぞれで甲子園に行けるのは1校ずつ。プラチナチケットをつかみ取ることができるのは、果たして……。
北と南の両端から幕を開けた夏の甲子園。7月を境に激闘の炎は日本中へ広がる。我々ファンも球児から熱き炎を受け取り、一気に夏へと突入。100年に一度の祭典を目に焼きつけたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)