難読選手、改名した選手、登録名で「ん、誰?」とつまずいてしまった選手。週刊野球太郎ではプロ野球選手の名前にまるわるアレコレを3回に渡って紹介。今回は登録名を変更した選手を紹介する。
現役の間に登録名を変える選手は珍しくない昨今の球界。これには、大きく分けて2つのパターンが存在する。それぞれのパターンに合致する選手たちをピックアップしてみたい。
フルネームではなく、「下の名前」を登録名とするスタイルをポピュラーにしたのは、なんと言っても世界の安打製造機・イチローだ。
本名は、市役所に出す書類見本にあるような「鈴木一朗」という普通の名前。それをオリックスの仰木彬監督(当時)の勧めで、プロ3年目、1994年の開幕直前に「イチロー」へ改名。それが契機になったか、1年目が40試合出場で打率.253、2年目が43試合の打率.188という成績から、3年目は全130試合に出場し、打率.385で首位打者を獲得し、NPB史上初のシーズン200安打を記録するなど、ジャンプアップを見せたのだった。その後の活躍はあらためて説明する必要はないだろう。
以降、投手、野手を問わず「下の名前」を登録名とする選手が多数出現。2018年6月時点で、現役では10人の選手がこのパターンに該当している。1軍で結果を残しているのは、由規、雄平(ともにヤクルト)、大和(DeNA)、俊介(阪神)、銀次(楽天)といったところか。
なお、炭谷銀仁朗(西武)や山下斐紹(楽天)ように、入団当初はフルネームの登録名だったのが、しばらくして「銀仁朗」や「斐紹」へと変更し、さらに数年経過してからフルネームに戻すパターンも存在する。
亀井善行(巨人)は、1年目の2005年から2012年までは本名の「亀井義行」でプレーしていたが、2012年にケガが相次いだこともあって、2013年からは現在の「亀井善行」に。
また、今江年晶(楽天)は、ロッテ時代(2002〜2015年)と楽天移籍後の1年目(2016年)は本名の「今江敏晃」だったが、こちらも故障が続いたこともあって2017年からは現在の登録名に変更している。読みはいずれも「としあき」だ。
今江と同じPL学園出身で、今季から古巣の西武に兼任コーチとして舞い戻った松井稼頭央は、1年目から、登録名を本名の「和夫」ではなく「稼頭央」としている。
かつて、日本ハム時代の(2004〜2006年)の新庄剛志が「SHINJO」に、ロッテ時代の西岡剛が2007年に「TSUYOSHI」という、すべてローマ字の登録名を使用していたことがあるが、2018年時点でこのパターンの選手はいない。
現役選手のなかで、異彩を放つのはDeNAのG後藤武敏だ。「ごめす・ごとう・たけとし」と読む。愛称が登録名にまで昇格した例で、西武・ロッテで活躍したG.G.佐藤(佐藤隆彦)と同様のパターンと言える。
いわゆる「松坂世代」の数少ない現役選手であるG後藤。今季は、交流戦終了まで、まだ1軍登録がないが、2軍戦には元気に出場している。おそらく、夏場以降、どこかでその力が必要な場面が出てくるはず。また、ベテランらしいしぶとい打撃が見られることを期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)