楽天の過酷な後半戦を助けるのは「ベテランの経験力」と「若手の突破力」になるはずだ。選手層の厚い若鷹軍団を倒すには、楽天の選手全員が文字通り一丸になる必要がある。となると、特に前述の2要素がもたらすものは大きい。
そこで提案したいのは、かつてトリプルスリーを記録したレジェンドと、未来のトリプルスリー候補と睨むプロ2年目のドラ1の積極起用である。
そう! 松井稼頭央とオコエ瑠偉をもっと上手く使ってほしい! 筆者にあるのはこの一念なのだ!
今シーズンの松井稼は主に代走などで25試合に出場。限られた出場に甘んじている。しかし、2013年の日本一は、そもそも松井稼が2010年オフに楽天をNPB復帰先に選んだことから始まった。
「Burn!」を持ち込み、勝利の大切さ、厳しさをチームに植えつけた功労者の力と経験は、真夏の優勝戦線に絶対に必要になるはずだ。
松井稼の珠玉の槍働きは今なお健在。スタメン出場の9試合では打率.308を残している。6月13日ヤクルト戦で見せた3安打、5打点はまだ記憶に新しい。6月26日オリックス戦では1点を追う9回、もう後がない瀬戸際でオリックスのクローザー・平野佳寿から代打同点打を放った。
出場した25試合では、アマダーの代走が10試合と多いのだが、そんなメキシコの怪人は239打席を与えられながら打率.215といまだに低空飛行。助っ人のムラッ気ある打棒よりも、出場機会に飢えている41歳のギラギラした暑い夏を見たいと思うのは、筆者だけではないはずだ。
「二十歳の夏」を迎えるオコエ瑠偉にも夢がふくらむ。今シーズンは年初に私生活で週刊誌を騒がせ、2月に右手骨折の手術を受けるなど大幅に出遅れた。イースタン・リーグでの出場も6月中旬に入ってから。
しかし、そこからのロケットスタートは内容が特濃。主に1番で起用され、65打席で打率.333。1試合複数安打を放つゲームも多く、21安打中、センターから右方向への打球がじつに17本。課題の打撃でも進境をみせている。
経験に裏打ちされたベテラン・松井稼のオーラと、若武者・オコエならではの物怖じしない無敵な雰囲気。これぞナインをさらに結束させ、今以上に勢いを加速化させる「優勝ファクター」なのだ。
(※成績は7月10日現在)
文=柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドにみえる、楽天押しの野球ブロガー。開幕前から楽天有利、ホークス不利の前半戦日程を指摘、イーグルス躍進の可能性を見抜いた。