ソフトバンクは、10月24日付けで細川亨捕手と来季の契約を結ばないことを公式サイトで発表した。
球団はバッテリーコーチ就任を要請したが、現役にこだわる細川はこれを拒否。今後は、自由契約となるか、2014年に取得しているFA権利を行使するかだが、いずれにしても次なる移籍先を模索することになる。
移籍に際して、ネックとなるのはやはり年齢だろう。1980年1月4日生まれの細川は、年明け早々に37回目の誕生日を迎える。今季、ソフトバンクの最年長となると、厳密には1979年5月28日生まれの五十嵐亮太だが、細川も同学年。ベテランの域に達していることは間違いない。来季も動けるのか? これは大きな懸念となる。
ただ、それをも凌駕しそうな魅力が、ソフトバンク投手陣のすべてを熟知しているという点。とくにパ・リーグ球団にとってはこれ以上ない魅力。
今季の交流戦を除くレギュラーシーズンでの、パ・リーグ5球団のソフトバンクとの対戦成績は以下の通り。5チーム中、日本ハムを除く4チームが大きく負け越している。
日本ハム:15勝9敗1分
ロッテ:8勝16敗1分
西武:9勝15敗1分
楽天:8勝16敗1分
オリックス:10勝14敗1分
ソフトバンクに負け越した4球団のうち、楽天は対戦時のソフトバンクのチーム防御率が2.66、オリックスも同2.51と、この2球団は2点台に抑え込まれている(ほかの3球団は3点台)。シンプルにソフトバンク投手陣を攻略できなかったということだ。そんな苦手とするチームの濃い情報を、細川の加入で手に入るとなれば!?
来季もロッテを率いることが決まっている伊東勤監督と細川は、現役選手として2002年から2003年、監督とレギュラー捕手として2004年から2007年と、6年間に渡ってともに西武のユニフォームを着た間柄だ。
ロッテは、今季4年目の田村龍弘が着実な成長を見せているとはいえ、現役時代にベストナイン10回、ゴールデングラブ賞11回の伊東監督からすれば、まだまだ物足りない部分もあるはず。田村のサポート役、また刺激を与える意味でも細川の加入はプラスになる可能性がある…。
以上は可能性を追求した筆者の妄想だ……。
2010年オフにFA宣言し、西武からソフトバンクに移籍した細川。つまり「ソフトバンク歴」は6年。にもかかわらず、昔からソフトバンクのユニフォームを着ているような雰囲気を感じていたファンも多いのではないか。それだけ細川の存在感が大きかったという証だろう。
たしかに、クライマックスシリーズの大事な場面でのパスボールやバント失敗など集中力を欠くようなプレーはあった。
ただ、2016年のレギュラーシーズンの打率は、ケガもあって出場試合数こそ49試合と少なかったものの、8年ぶりに2割2分台(.226)を記録。まだまだ年齢的な限界はきていないという見方もできる。果たして、新たな所属チームは決まるのか? 吉報を待ちたい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)