DeNA1位 東克樹・日米大学野球で最優秀投手賞獲得の152キロ左腕
2017年プロ野球ドラフト会議で、総勢82名の選手が指名された。
2018年からのプロでの活躍に期待したい。
週刊野球太郎では、ドラフト会議の直前にインタビューした指名選手18名を特集!
プロで活躍するために戦ってきたドラフト候補と、彼らの「真価」を最も熟知している監督さんを取材した貴重な「証言」をお届けします。
今回の指名選手
DeNA ドラフト1位
東克樹(あずま・かつき)
170センチ75キロ/左投左打。1995(平成7)年11月29日生まれ、三重県四日市市出身。三重クラブ野球少年団で野球を始め、中学時代は四日市トップエースボーイズに所属。愛工大名電高では3年夏に甲子園出場。立命館大では関西野球連盟史上初となる2度のノーヒットノーランを達成。今年は侍ジャパン大学代表に選出され、日米大学野球で最優秀投手賞を受賞。
後藤昇監督の証言
★最初の印象
東が2年の時に監督に就任しましたが、コントロールがいいピッチャーという印象でした。最初はリリーフで起用しましたが、当時4年だった桜井俊貴(巨人)と西川大地(日本新薬)の卒業後は彼がエースになるだろうと思っていました。桜井と西川がいた時はチ
ーム自体が強かったので、負けてもいいから競っている試合でも東を投げさせていました。結果的に東が投げて負けるという試合もありましたが。
★エースとしての成長
3年になってからのエースだったので当初は精神的な甘さ、弱さがありました。技術的なものも含めてですが、隙のあるピッチングをしたり、弱気な部分が出ることもありました。人間なので誰でもそういう面はありますが、精神的な強さで押し切れるほど、まだ考え方が大人になり切っていなかったです。それが徐々に3年の時の1年間をかけて成長してくれたかなと思います。
★リーグ戦での期待
この春のリーグ戦では弱い面が出て、第1節の近大戦を0対1で落としてしまいました。出会い頭のホームランであろうが、先に点を取られるのは投手として痛恨の極み。彼の実力からすれば点を取られること自体がなってないというレベルの話です。秋のリーグ戦では5勝無失点で投げ切るくらいの高いハードルを設けたいです。
★今後の課題
一球の怖さ、ワンプレーの怖さをもっと痛感しないといけないと思っています。あとは自分で試合を作っていくことが重要ですね。冷静に相手を見た時にどう組み立てていくかを考えられないといけないと思っています。身体的なスタミナはありますが、コンスタントに連投になった時の肩のスタミナは、まだ物足りないですね。
★これから
しっかり体を鍛えて、試合で投げさせてもらえるようになってほしいです。その前にプロに入ることが大事ですが、ドラフト1位でないと行かないというくらいの意気込みでやってほしいです。
監督さんプロフィール
後藤昇[ごとう・のぼる]
1960(昭和35)年生まれ、大阪府出身。天理高〜立命館大〜日本新薬。高校時代は3年夏に甲子園ベスト8。日本新薬では選手として7年、コーチを2年、監督を4年務めた。2015年に立命館大の監督に就任。
本人の証言
★立命館大を選んだ理由
関東の大学に行っても通用しないと思っていた時に愛工大名電のOBで当時、立命館大の4年だった余語充さんに「今の立命館大は左投手がいないからすぐに出られるぞ」と言われて、立命館大なら野球がダメでも就職でも有利かなと思って進学することにしました。早くから登板機会を与えていただいて、今の状況があるのも運と縁があったのかなと思います。
★先輩の存在
先輩の桜井さんと西川さんは今でもすごい投手だと思っています。二人から学ぶことが多かったですね。桜井さんは練習に対してストイックで黙々とやっていました。西川さんも真面目でオンとオフがしっかりとしている方でした。二人を見て、自分でどこまでやれるのかが大事だと思いました。
★転機となった試合
一番印象に残っている試合は2度目のノーヒットノーランを達成した今年の春の関西大戦です。自己最速の152キロが出て成長を感じましたし、プロへの気持ちが強まりました。上でも通用する自信になりました。
★目標の投手
目標にしているのはヤクルトの石川雅規投手です。参考にしている部分は緩急と変化球の使い方、コントロールです。僕と同じように身長が低くてもプロで何年もやっているピッチャーなので教わる機会があればどういう工夫をしているのかを聞いてみたいです。
★これから
息の長い選手になるのが一番の目標です。先発になるかリリーフになるかわかりませんが、与えられた役割で結果にこだわってやっていきたいです。最低でも35歳まで続けられれば野球人生に悔いはないかなと思います。
球種に関する証言
ストレート 144 〜 152キロ
スライダー 130キロ
カーブ 115 〜 120キロ
チェンジアップ 120キロ
ツーシーム 130 〜 135キロ
球速が上がったことで緩急を使ったピッチングができるようになりました。リーグ戦ではストレートでカウントを取っていくスタイルでしたが、日米大学野球ではカーブやチェンジアップが有効でした。(本人)
フォームに関する証言
監督
バランスがよくてムダのない投げ方をしているので、故障するリスクの少ないフォームで投げられています。プロに行ってもあまりフォームには触らないほうがいいと思います。
本人
着地の足が開くクセがあるので真っすぐ踏み出すことを意識しています。ピッチャーをやってきてフォームをいじられたことはないです。いじられて崩れるのが嫌なので調子がいい時は言われたことを聞かないようにしています(笑)。
グラウンド外の素顔
後藤監督は東の人間性について「明るい性格で人間的にバランスがいい」と評価していた。人の気持ちがよくわかっていて同級生や後輩からも慕われているという。サラリーマンとしても出世できそうだと感じるくらいに優等生的な雰囲気を醸し出している東だが、意外にもチーム内ではいじられキャラで「顔が黒いと、よくチームメイトからいじられています」と笑いながら答えてくれた。
本稿は雑誌『野球太郎 No.024 2017ドラフト直前大特集号』(2017年9月23日発行)に掲載された人気企画「ドラフト候補&指導者マンツーマン・インタビュー」から、ライター・馬場遼氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。
取材・文 馬場遼
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