新型コロナウイルスが猛威をふるう今春。周知の通り、センバツが中止となり、高校3年生にとっては最後の夏に向け、不安な状況が続いている。
あらためて高校野球界の状況を整理してみたい。
本稿執筆時点の先週末(3月28日、29日)、各地の高野連が春季大会の中止を続々と発表した。おそらく全面的に中止の流れになりそうだが、九州大会への移動経費の捻出も必要な沖縄では、3月25日に無観客で春季大会が始まった。
しかし、4月から5月に延期した九州大会が中止になるとすれば、沖縄が無理をする必要もなかったことになる。これは沖縄に限った話ではなく、各地の高野連で難しい判断が続くが、まだ1カ月半あるとはいえ、沖縄にとってはさらに難しい状況になってしまった。
夏の高校野球までは多少の時間はあるが、「春の結果によるシード権」がほとんどの地区で消失する。もし、夏の大会が開催できたとしてもかなりの波乱含みになるのが予想される。
高校の部活動については各地方、各校で対応が分かれている。公立、私立を問わず、完全に中止している高校もあれば、練習はしている高校もある。
対外試合は原則できないが、学校の方針によって、不公平が生じる可能性は否めない。せめて、各都道府県の高野連ごとに地域の指針を一律化できればいいのだが、再度の一斉休校に含みがある時点ではどうにもならないのかもしれない。
ひとまず、4月中旬頃からの練習試合再開を目指している高校も多いが、先行きは不透明だ。
2月22日、大阪府高野連は夏のシード導入を発表した。これまで大阪では全国で唯一、夏のシード権がない完全抽選制(3回戦までは南北に分かれる)だった。
完全抽選では1回戦から実力差によって試合時間が伸びてしまうこともあり、体調のリスク軽減の狙いもある。
ただ、今年の春季大会の開催の可否は未定となっており、今夏のシード権がどうなるかはわからない。
高校野球ファンにとってみれば楽しみな部分ではあっただろうが、状況が状況なだけに、本格導入は来年以降に持ち越しとなっても致し方ないところだろう。
文=落合初春(おちあい・もとはる)