ここまでの試合を振り返りながら、勝率5割超えに向けての課題と好材料をあらためて確認してみたい。
まず課題を挙げると、着実に勝ち星を積み上げてほしい先発陣・石田健大、井納翔一、今永昇太で星を落としているのが痛い。
好材料は、久保康友の1軍合流。6日に勝率5割に達せた背景としては、チーム事情で「秘密兵器」的な立場に置かれていた久保が、4月30日の広島戦で勝ち星を挙げたことが大きかった。
今季2度目の登板となった5月7日のヤクルト戦では炎上して敗戦投手となり、貯金作りに失敗する結果を招いたが、それでも久保の存在が大きなカギを握ることになりそうだ。
次に打撃陣を見ていきたい。「打線は水物」というだけに、正直、ここまで打撃陣が好調を維持するとは思っていなかった。
梶谷隆幸は7本塁打、21打点。強打の広島打線を支えるスラッガー陣、エルドレッド、丸佳浩、新井貴浩、鈴木誠也を抑え、ホームランダービーのトップを走っている。また、ロペスも5本塁打、23打点。本塁打、打点ともにリーグ3位と気を吐いている。
特に梶谷には期待が集まる。DeNAファンは、今シーズンの梶谷の姿に大きな違いを感じているのではないだろうか。昨シーズンのペナントレースまでと比べて、試合に臨む姿勢がまったく違っているからだ。
もともと梶谷は秘めた闘志が表に出にくいキャラクターだった。しかし、昨シーズンのCSファーストステージからファイナルステージにかけての死闘では闘志を露わにし、満身創痍の体で戦い抜いた。
そして、今シーズンも闘志溢れるテンションを継続。それは、選手としての成長を感じさせる。
報道によると、今シーズンの梶谷は、体重が減りやすい体質を改善するため、食事に気を配ってベストな体重を維持するなど、細心の注意を払って臨んでいるようだ。
それも成長をうかがわせる話だが、やはり闘志あふれるプレースタイルが筆者を含めてファンを魅了する。集中力がみなぎったチャンスでのバッティング。諦めずにボールを追う守備はチームを鼓舞している。
主砲・筒香嘉智は復調気配にあり、打線はまだ上積みを見込める。勝率5割超えのキーマンとして、梶谷には攻守に闘志あふれるプレーでこの調子を維持してほしい。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)