巨人の永久欠番「14」といえば、伝説の名投手・沢村栄治だ。ストレートの球速は160キロを超えていたとの説もあり、その豪球を武器に、プロでの5年間で3度のノーヒットノーランを含む63勝22敗という成績を残した。残念ながら1944年12月、戦地で命を落としている。
沢村が生まれたのは1917年2月1日。今年はちょうど生誕100周年にあたるということで、現役時代に所属していた巨人が、出身地である三重県伊勢市で3月22日に「沢村栄治生誕100周年記念試合」を開催した。
試合前日には、高橋由伸監督、長野正義選手会長が、野球のボールをかたどった沢村の墓前で手を合わせ、試合開催の報告を行った。
巨人の公式サイトによると高橋監督は、「沢村さんは(巨人軍の)伝統をつくり上げた先輩のひとりなので、感謝の気持ちを持ってお参りさせていただきました。我々はその伝統を受け継ぎ、そして新しい歴史を作っていかなくてはいけない」と、決意を口にしたという。
試合が行われたのは、三重県伊勢市の倉田山公園野球場。ここの敷地内には、沢村と、同じ伊勢市出身の投手・西村幸生(阪神)の銅像2体が並んで建っている。
そんなゆかりの地で、巨人の選手は、全員が背番号14のユニフォームを身にまとい、敬意を表した。
試合は、2回裏に日本ハムの先発・加藤貴之から長野がレフトスタンドへソロホームランを放ち先制。その後はこう着状態が続いたが、9回表に日本ハムがスクイズとカミネロのボークで2点を入れて逆転。その裏を白村明弘が3人で締めてゲームセット。
巨人は1対2で敗れ、先輩の名を冠したメモリアルゲームを勝利で飾ることはできなかった。
それでも、こうした試合を開催したことで、野球が身近にある喜び、そして先人への感謝は表現できたのではないだろうか。このような試みがさらに広がることを願ってやまない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)