高校野球の“イマ”にググっとクローズアップしていく「2018高校野球最前線」。
とくに今年の夏の甲子園は100回大会という節目を迎えることで、例年以上に注目度は高まっている。
そんな世紀の大会を最大限に楽しむための春の高校野球情報を、盛りだくさんでお届けしよう。
各都道府県のライバル対決が熱い。ゴールデンウイークの後半には北信越の3県で決勝戦が行われたが、なかでも気になったのは石川と富山だ。
石川県大会決勝は、星稜と日本航空石川というセンバツベスト8同士が激突。星稜がライバル決戦を4対0のシャットアウトで制した。また、富山県大会決勝は、昨秋の県大会準決勝でぶつかった高岡商と富山商の伝統校が再戦。両校のエース、山田龍聖(高岡商)と沢田龍太(富山商)は評価も高く、ドラフト候補対決としても注目された。昨秋は富山商が勝ってセンバツまで駒を進めたが、今回は高岡商に軍配が上がった。
北信越大会でも、この4チームに注目したい。
優勝校が出揃った近畿。センバツに出場した乙訓(京都)、大阪桐蔭(大阪)、智辯学園(奈良)、智辯和歌山(和歌山)がしっかりと勝ち上がってきた。なかでも、智辯和歌山は決勝で市和歌山を6対5で振り切り、センバツ準優勝校の意地を見せた。
智辯和歌山は大阪桐蔭に昨秋の近畿大会決勝で0対1と惜敗、センバツ決勝でも2対5と及ばなかった。智辯和歌山ナインに、チームを率いる名将・高嶋仁監督も「今度こそ!」と近畿大会でのリベンジに燃えていることだろう。5月26日開幕の近畿大会を楽しみに待ちたい。
強豪校揃いで激戦が予想された関東大会は、その通りの熱戦続き。1回戦では日大三(東京)が桐光学園(神奈川)に延長戦で勝利。2回戦では、横浜(神奈川)が明秀学園日立(茨城)に、東海大相模(神奈川)が花咲徳栄(埼玉)に、それぞれ最終回の逆転劇で勝利を収めた。
そして、準々決勝を勝ち上がったのは常総学院(茨城)、日大三(東京)、木更津総合(千葉)、健大高崎(群馬)。甲子園3回戦以降といってもいい、全国区の強豪の好カードが続く。
中国大会は、各県大会が終わってから1カ月近く期間を空けて開催される。試合勘が気になるが、疲労を回復させ、いいコンディションで臨める選手が多いことだろう。
5県8校で争われる中国大会の最注目は、粗削りながら最速151キロを誇る倉敷商(岡山)の引地秀一郎。伸びしろの大きさ故に、ドラフトファンから「ロマン枠」と注目される逸材だ。
大器の名を全国に轟かせるためにも、最後の夏にかける思いは一際強いはず。中国大会を弾みに、久しく甲子園から遠ざかっている名門校を夏の甲子園に導きたい。
トーナメントが進むにつれて激しくなる春季大会。ライバル決戦が行われた北信越のように、日々、数々のドラマが生まれている。これからも高みで切磋琢磨する高校球児を追いかけていきたい。
まだ、日程をさほど消化していない東北地方でも、これから気になる選手が次々と出てくるはず。高校野球ファンはノンストップで現れるフレッシュな情報をお見逃しなく!
文=森田真悟(もりた・しんご)