2013年の第3回WBC、三連覇を狙った日本は準決勝でプエルトリコに1対3で敗れた。勝負の分かれ目として議論を呼んだのが、3点を追う日本の8回の攻撃だった。
1死から鳥谷敬(阪神)が三塁打を放ち、続く井端弘和(中日)がライト前へタイムリー。1点を返し、内川聖一(ソフトバンク)もライト前へ運ぶ。1死一、二塁。打席には4番・阿部慎之助(巨人)が入った。
長打が出れば同点だったが、2球目に二塁走者の井端と一塁走者の内川がスタート。しかし、井端はスタートを切ってストップし、内川は二塁へ一心に走った。結果、内川がアウトになり、チャンスも潰えた。
「阿部のバットに託せばよかった」、「走塁の得意ではない内川に細かいサインを出すのは酷」など、ファンの間でも様々な意見が飛び交った大きなプレーだった。
過去の代表チームを見ると、たしかに日本のトップクラスの選手が集まっている。だが、「トップクラスの選手が集まった=最強チーム」というわけでもないはずだ。
いくらいい選手を集めてもスタメンで出場できる野手は、指名打者を含めても9人。野手15人のうち6人はベンチスタートになる。試合の途中から出場することに慣れないレギュラークラスの選手もいるのではないか。
例えば、打力に秀でていなくても守備や走塁で日本の戦力となる選手がいる。
阪神の大和は二塁、遊撃、外野の控えとしてチームに欠かせない存在だ。複数のポジションを守れるというだけではなく、いずれのポジションでも非常に高い守備能力を誇る。打撃は非力で、小技も決してうまくない。走塁技術に長けているわけでもない。しかし、守備だけでも日本代表にふさわしい。
代走のスペシャリストでは、真っ先に鈴木尚広(巨人)の名前が挙がる。今季は出場機会が例年と比べて少なく、まだ4盗塁しか決めていないが失敗は一度もない。