潜在能力をもった投手たちの将来に期待だ。山田紘太郎(西尾東)は細身の投手体型で、ストレートが走る。昨秋から右手人さし指の痛みなどで本調子には遠いが、大学で全国級に成長するはずだ。
磯貝和賢(中部大第一)は力があるストレートを内角へ投げ込み、打者をかわす術ももつ。体格があり上体が柔らかく、いずれ大化けしそうだ。この両者が対戦した春の県大会3回戦には、ソフトバンク、ヤクルトなど4球団のスカウトが集まった。
また、石黒佑弥(星城)も球に勢いがある、力投型の本格派。同1回戦を地元・中日のスカウトが視察した。
■ストレートで押せる好素材多数
全国屈指の参加校数ゆえ、好素材の数も多い。右投手では、垣波航平(大府)は馬力があり、投げっぷりがよい。チームで最も足が速く、身体能力を備える。
大谷彰吾(安城学園)は昨秋の全三河大会で130キロ台後半の快速球が目を惹いた。藤田颯(科技高豊田)、安藤大斗(小牧南)らもストレートで空振りがとれる。
登板機会は多くないが、亀井翔太(享栄)は最速140キロ超。奥田優太郎(東邦)は速球派サイドハンドとして楽しみだ。“隠し玉”では、福澤明(向陽)が身長190センチで、長い腕を柔らかく振れる原石。鈴木脩生(岡崎北)も評判だ。
左投手では、植田結喜(東邦)が本調子なら、140キロを超すストレートで内外を攻め、スライダーが切れる。大竹輝竜(豊橋中央)はオーバーハンドで力強く腕を振る。
金子蓮汰(東郷)は開きを抑えたフォームで球持ちがよく、今後伸びる余地が大きい。
2年生では、最速146キロ右腕の高橋宏斗(中京大中京)、大型左腕の割に柔らかさ、変化球も備える上田洸太朗(享栄)が有力だ。
センバツ決勝で2本塁打を放った石川昂弥(東邦)は、スケールの大きな打撃で全国ナンバーワン打者といえる存在。ドラフトでは2位以内で指名されそうだ。
これに続くのが強打の左打者だ。上田希由翔(愛産大三河)はよく振れて打球も飛ぶ。5月の練習試合・駿河総合戦には、相手のドラフト候補・紅林弘太郎との競演を目当てに、プロ5球団のスカウトが集結した。
また、澤野聖悠(誉)はタイミングの取り方がうまく、打球が伸びる。ともに遊撃守備にも挑戦している。
本職の遊撃手陣は、打撃がシュアで、好守に一層磨きがかかった熊田任洋(東邦)を筆頭に、バット操作の巧みな堀内祐我(愛工大名電)、攻守に精度が高い今泉颯太(中京大中京)、センスが光る河田翔太(享栄)と“私学4強”が精鋭揃い。
その他では尾形渉悟(菊華)も俊足巧打を発揮している。
このほか、広角に長打を打てて脚力がある西村進之介(栄徳)、飛距離や打球スピードがある牛島凜人(愛工大名電)、トータルで能力が高い稲生賢二(愛工大名電)、強肩捕手の成沢巧馬(東邦)などが目立つ。公立の“隠し玉”では、大型の左利きで身体能力がある土方俊輔(昭和)、スイングスピードと走力が魅力の田中天馬(刈谷)、長打を連発する山?仁義(瀬戸)が面白い存在だ。
センバツでは、東邦が全国最多となる5度目の優勝を果たした。
平成最初の甲子園優勝校が、平成最後の大会も優勝で飾って話題になった。
令和の時代になっても、県の勢力図は当面は大きく変わることはなさそう。
今年の夏に関しては、引き続き東邦を中心視したい。
今春県大会では初戦で敗れ、夏はノーシードに回るが、実力的には最上位とみる。
投手力に不安を残すが、打力で勝ち抜くはずだ。
そしてこれを追うのも、やはり従来から凌ぎを削ってきた“私学4強”勢になる。