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左投手がいない!? 選ばれし28名の侍戦士たちの特徴とは? 歴代WBCメンバーと徹底比較!


 大谷翔平(日本ハム)の離脱が決定し、チーム戦略の立て直しが急務となった侍ジャパン。この原稿を書いている時点(2月3日17時)では、まだ大谷の代替選手は発表されていない。

 大谷に代わる先発の柱は誰か? といった議論も必要だが、そもそも小久保裕紀監督によって選ばれた代表選手たちにはどんな特徴があるのだろうか? あらためて過去3回のWBCに臨んだ選手たちと比較して検証してみたい。

(※以下の考察は大谷翔平も含めた当初メンバーについてのもの。また、過去3回の代表メンバーも、1次登録メンバーで検証し、途中加入・離脱した選手については含まれていない。

(過去のWBCでの球団名は当時の所属チーム)

左投手がいないって本当?


 今回の代表メンバーで、特に不安視されているのが「サウスポーが少ない」ということ。実際に過去3大会と比較してみよう。

■2017WBC:3人
宮西尚生(日本ハム)/松井裕樹(楽天)/岡田俊哉(中日)

■2013WBC:6人
能見篤史(阪神)/杉内俊哉(巨人)/森福允彦(ソフトバンク)/内海哲也(巨人)/大隣憲司(ソフトバンク)/山口鉄也(巨人)

■2009WBC:4人
内海哲也(巨人)/岩田稔(阪神)/山口鉄也(巨人)/杉内俊哉(ソフトバンク)

■2006WBC:4人
藤田宗一(ロッテ)/和田毅(ソフトバンク)/杉内俊哉(ソフトバンク)/石井弘寿(ヤクルト)

 ご覧のように、今大会の左腕投手は過去もっとも少ない。だが、それ以上に気になるのが「役割」だ。過去3大会は先発、抑え候補それぞれに左腕を用意していたわけだが、今回選ばれた選手はいずれも中継ぎ・抑え投手たち。バランスが悪い、と受け取られて仕方がないだろう。


左打者も少ないメンバー構成。代打はどうする!?


 左腕不足も心配だが、実は左打者も少ないのが今回のチームだ。過去3大会と比較してみよう。なお、野手登録の選手のみで換算し、スイッチヒッターも左打者の数に含めている。

■2017WBC:4人
田中広輔(広島)/筒香嘉智(DeNA)/秋山翔吾(西武)/青木宣親(アストロズ)(※大谷翔平を含めれば5人)

■2013WBC:7人
阿部慎之助(巨人)/鳥谷敬(阪神)/松井稼頭央(楽天)/稲葉篤紀(日本ハム)/本多雄一(ソフトバンク)/糸井嘉男(オリックス)/角中勝也(ロッテ)

■2009WBC:9人
阿部慎之助(巨人)/岩村明憲(レイズ)/小笠原道大(巨人)/川崎宗則(ソフトバンク)/福留孝介(カブス)/青木宣親(ヤクルト)/亀井義行(巨人、現在の登録名は亀井善行)/稲葉篤紀(日本ハム)/イチロー(マリナーズ)

■2006WBC:9人
岩村明憲(ヤクルト)/小笠原道大(日本ハム)/松中信彦(ソフトバンク)/西岡剛(ロッテ)/川崎宗則(ソフトバンク)/金城龍彦(横浜)/福留孝介(中日)/青木宣親(ヤクルト)/イチロー(マリナーズ)

 優勝した2006WBC、2009WBCの代表チームと比較して、左打者の割合が半分に激減していることがわかる。

 選ばれた選手が物足りない、ということではなく、ここまでバランスが悪いことで、いわゆる「ジグザグ打線」が組めないのはもちろん、代打戦略などに影響はでないのだろうか? とちょっと不安になってしまう。「左右」という視点に立てば、今回のメンバーは投打ともに「右寄り」といえるのだ。

12球団総出演。これぞオール・ジャパン!?


 ここまで、「左不足」という“バランスの悪さ”を見てきたが、“バランスのよさ”は何かないのだろうか? そこで浮かび上がるのが選ばれた球団の数だ。各代表チームを「選出球団数」で見てみよう(以下、球団の並び順は前年ペナントレースの順位)。

■2017WBC
セ・リーグ球団:12人
広島3人/巨人人3人/DeNA1人/阪神1人/ヤクルト2人/中日2人

パ・リーグ球団:15人
日本ハム5人/ソフトバンク3人/ロッテ1人/西武2人/楽天3人/オリックス1人

MLB:1人

■2013WBC
セ・リーグ球団:14人
巨人7人/中日2人/ヤクルト1人/広島2人/阪神2人/DeNA 0人

パ・リーグ球団:15人
日本ハム2人/西武3人/ソフトバンク6人/楽天2人/ロッテ1人/オリックス1人

MLB:0人

■2009WBC
セ・リーグ球団:11人
巨人5人/阪神2人/中日0人/広島1人/ヤクルト1人/横浜2人

パ・リーグ球団:12人
西武3人/オリックス1人/日本ハム2人/ロッテ1人/楽天2人/ソフトバンク3人

MLB:5人

■2006WBC
セ・リーグ球団:13人
阪神2人/中日2人/横浜3人/ヤクルト4人/巨人1人/広島1人

パ・リーグ球団:15人
ロッテ8人/ソフトバンク4人/西武2人/オリックス0人/日本ハム1人/楽天0人

MLB:2人

 意外なことに、12球団全チームから代表選手が選ばれたのは4大会目にして今回が初めてのこと。どの球団のファンであっても応援しがいのあるチーム、といえるのかもしれない。また、別な視点でみると、今回も含め、歴代チームはすべて、セ・リーグよりもパ・リーグ球団からの選出人数の方が多かった。ここ10年の「パ高セ低」を如実に物語っている、といえるだろう。


過去最も“若い”チーム!? 平均年齢で検証


 最後に、選手、コーチの年齢についても比較検証してみたい。

■2017WBC
選手平均年齢:27.6歳/監督・コーチ平均年齢:49.6歳

■2013WBC
選手平均年齢:29.0歳/監督・コーチ平均年齢:53.3歳

■2009WBC
選手平均年齢:27.9歳/監督・コーチ平均年齢:49.1歳

■2006WBC
選手平均年齢:28.8歳/監督・コーチ平均年齢:51.8歳

 選手平均は過去最も若く、監督、コーチの平均でも過去2番目に若いチームが今回の侍ジャパンだ。監督、コーチにしても御年78歳の権藤博投手コーチ一人で押しあげているだけで、他は45歳の小久保監督を筆頭に全員40代と、非常に若い首脳陣だ。「若武者ジャパン」といえるだろう。

 尚、今回のメンバーで最も若いのが21歳の松井裕樹(楽天)。最高齢が35歳の青木宣親(アストロズ)だ。唯一のMLB選手として期待がかかる青木だが、年齢・経験でも若いチームを引っぱる役割が求められている、ということかもしれない。

 大谷翔平の足首故障の調整不足の問題もあり、今後メンバー変更の可能性もあるが、現状の代表チームの特徴を知る手がかりとして参考にしていただければ幸いだ。


2017WBC 代表選手・監督・コーチ


■投手
大谷翔平(22=日本ハム)右投左打
増井浩俊(32=日本ハム)右投右打
宮西尚生(31=日本ハム)左投左打
菅野智之(27=巨人)右投右打
秋吉亮(27=ヤクルト)右投右打
牧田和久(32=西武)右投右打
則本昂大(26=楽天)右投左打
松井裕樹(21=楽天)左投左打
千賀滉大(23=ソフトバンク)右投左打
石川歩(28=ロッテ)右投右打
藤浪晋太郎(22=阪神)右投右打
岡田俊哉(25=中日)左投左打
平野佳寿(32=オリックス)右投右打

■捕手
嶋基宏(32=楽天)右投右打
大野奨太(30=日本ハム)右投右打
小林誠司(27=巨人)右投右打

■内野手
中田翔(27=日本ハム)右投右打
菊池涼介(26=広島)右投右打
坂本勇人(28=巨人)右投右打
山田哲人(24=ヤクルト)右投右打
松田宣浩(33=ソフトバンク)右投右打
田中広輔(27=広島)右投左打

■外野手
内川聖一(34=ソフトバンク)右投右打
筒香嘉智(25=DeNA)右投左打
秋山翔吾(28=西武)右投左打
鈴木誠也(22=広島)右投右打
青木宣親(35=アストロズ)右投左打
平田良介(28=中日)右投右打

■監督・コーチ
監督:小久保裕紀(45)
ヘッドコーチ:奈良原浩(48)
投手コーチ:権藤博(78)
バッテリーコーチ:村田善則(42)
打撃コーチ:稲葉篤紀(44)
内野・守備走塁コーチ:仁志敏久(45)
外野・守備走塁コーチ:大西崇之(45)


文=オグマナオト

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