2月1日に春季キャンプが開幕。各選手は様々な場所で自主トレに励んできたが、話題の中心となったのは根尾昂(中日)や藤原恭大(ロッテ)ら昨年のドラフトで指名された「金の卵」たちだ。
ほかの新人選手とともにトレーニングを行い、毎日のようにインタビューに対応。その様子は各球団の公式Twitterなどでも配信されたが、そのインタビューは初々しい言葉が並ぶ。プロ野球選手とはいえ、まだ高校生ということをあらためて感じさせてくれる。
一方で野球だけでなく、人生にも通じる深い言葉を発する野球界のレジェンドがいる。そんなレジェンドが発したな3つの名言を紹介したい。シチュエーションを選べば、日常生活でも使えることは間違いない。
新しい事業やものごとを始めるときは、誰でも不安があるだろう。結果が出なかったら…と考えてしまうのも無理はない。そんなときに背中を押してくれるのが「世界の王」こと王貞治氏の言葉だ。
「いきなり答えを求めてはいけない。サッカーだって7、8カ国からW杯が始まって今の形になるまで100年以上かかっている。そういう意味でもまずはやってみないと。そこから課題やいろいろ考えるところが出てくるんだ」
これは2005年11月に受けたインタビューで、「WBCは世界的な発展につながると思うか?」という質問に対しての答えだ。第1回WBCが開催される数カ月前のことである。
さすが現役時代に「一本足打法」に取り組むなど、果敢にチャレンジしたレジェンドだけのことはある。「まずはやってみよう、そしてそこから考える」と逃げることはせず、正々堂々と進んでいく。そして結果がすぐに出なくても諦めない。そういったことを教えてくれる言葉だ。世界のホームラン王が発する言葉にはやはり説得力がある。
会社に限らず組織に属すると、とりわけ若いうちは会社(組織)に「何かを与えてもらおう」と思ってしまうこともあるだろう。それは決して悪いことではないが、一歩進むためには「何かを与える」、すなわち、ギブアンドテイクの精神も必要だ。
1988年に巨人の監督を辞任し、1995年にダイエーの監督に就任した王貞治氏が春季キャンプ初日に説いている。
「あなたがチームから何を与えてもらうかではなく、あなたがチームのために何をできるかを考えてくれ」
ここで出てくる「あなた」というのは選手、そしてコーチたち全員だ。当時のダイエーは、南海ホークス時代の1977年に2位となって以来、17年連続でBクラスと低迷している弱小チームだった。そのチームを変えるべくやってきた王監督は、その初日から檄を飛ばしたのである。
所属している人の気持ちが変わらなければ、なにごとも変わらないのである。ここからダイエーは強くなり、1998年に3位、1999年には念願のリーグ優勝、そして日本一に輝いた。その結果が何よりの答えだろう。
自分自身、あるいは部下の長所を伸ばすか。それとも短所を潰していくのか。よくある悩みごとのひとつだろう。それはプロ野球の世界でも同じこと。指導者によって方針は違うが、先日殿堂入りを果たした権藤博氏は長所を伸ばすことに特化していた。近鉄のコーチ時代に次のような言葉を発している。
「投手は欠点の矯正より個性や特性を伸ばすのが第一」
フォームにクセがある場合、プロでは矯正されることが多い。しかし、権藤氏はそうしなかった。それにより花開いた選手は数多くいる。また横浜の監督として1998年には日本一を達成。選手たちの「長所を伸ばす」ことでチームを強化していったのだ。
長所を伸ばすか、短所を潰すか…。
この2択に陥ったとき、権藤氏の言葉を思い出してほしい。野球殿堂に入る野球人の言葉である。自分の経験より、信用に値するのではないだろうか。もちろん、自己責任ではあるが…。
■参考文献
『王さん語録 89の真実』(西日本新聞社)
『80年代プロ野球名語録 パ・リーグ編』(キビタキビオ・著。セブン&アイ出版)
文=勝田聡(かつた・さとし)