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期待する“君コン”選手と立浪流ショート学〜上手いのはやっぱり宮本慎也ですね

 ベテラン、若手の話をしてきたので、今回は中堅選手でもうひと踏ん張りしてほしい選手の話をしようと思います。『野球太郎』では「君コン選手」っていうの?



【坂本勇人の「野球センス」に期待したい】

 もっとがんばってほしいというか、やっぱり気になるのは、巨人の坂本勇人選手ですね。彼の持っている能力からしたら、こんなもんじゃないんです。ちょっといま、壁にぶつかってる感じがありますけど、もっともっと成績を残せるはずですよね。

 坂本選手の何がいいかといえば、とにかく「野球センス」。もう抜群なんでね。いま、3割くらいは打ってます(6月20日現在、打率.301)けど、もっともっと打てるだけの能力は持ってますから。

 ポジションがショートなので守備のこともよく言われて大変だとは思います。でも、身長が186センチ。あの身長でよくショートをやっているなという印象です。やっぱり、小さな方がフットワークよく動けると思うんです。でも坂本選手も、守備は年々よくなってますからね。


 僕が現役生活を通じて、うまいなぁ、と感じたショートは、やっぱり宮本慎也(元ヤクルト)ですね。派手さはないけど堅実。派手なプレーもあるけど、粗い、雑、エラーも多いっていう選手はたくさんいるんです。そんな中、本当に難しい当たりを難しく見せずにさばくことに関しては、ここ何年かのショートでは、やっぱり宮本が上手かったですね。

 宮本はPL学園高の1年後輩ですけど、スローイングに関しては入学当時からよかったですね。捕ったらもう安心。むしろ、捕球なんかはだんだん上手くなっていった感じだと思います。

 同じようなタイプだと巨人に移籍した井端弘和選手も上手いですよね。なかなかエラーをしない選手。今だったら、ソフトバンクの今宮健太選手と本多雄一選手の二遊間がいいですね。二人とも脚力があって動ける選手なので。今宮の場合、柔らかさはないけど、ハマったときにはもの凄いプレーをしますから。守備範囲も広いし肩も一流。魅力ですよね。

【もっとショートを極めたかった……】

 僕自身は、プロ入り1年目から開幕スタメンでショートを任せていただきました。でも実は、ショートの守備そのものに関しては、高校からプロに入っても、それほどギャップを感じたことはありませんでした。むしろ、プロとアマチュアの差を一番感じたのは「試合の数」ですね。毎日試合がある、というのが堪えました。アマチュアはそんなに試合をしませんから。

 毎日試合があるということは、その分、毎日ノックを受けていることにもなりますしね。そこが一番体力的にも厳しかったのと、あとはシーズン途中で肩をケガしてしまったのが誤算でしたね。まあ、そのケガがあったからこそ、いろんなポジションを転々としながら、長く現役でいられたのかもしれないですけど。ただ、ひとつ悔いが残るとすれば、もうちょっとショートは極めたかったですね。

 ショートからはじまり、サード、セカンド、レフトといろんなポジションを経験しました。

 子どもの頃からずーっと内野でやらせてもらったので、外野を守っている人には怒られるかもしれないですけど、内野のほうが「守っている緊張感」がある。これはもう全然違いましたね。

 例えば、2死三塁の場面で、自分のミスで1点が入る。一球一球、手に汗握るくらいの緊張感があるんですけど、自分が外野を守ったときにはそこまでの緊張感はなかったです。

 ただ、外野の難しさっていうのは、打たないと守備のリズムが生まれてこないことです。だから、外野をやって感じたことは、これで打てれば野球が楽しいだろうなぁ、ということ。そんなに守りのプレッシャーもないし、いまはドーム球場全盛だから風を気にする必要もないですしね。

【「この選手」と思ったら使い続ける星野監督の強さ】

 改めて感じるのは、高卒1年目の18歳の選手をいきなり開幕スタメンで使うなんていうのは、星野仙一監督だからこその英断ですよね。普通、なかなかできないと思います。僕に限らず、「この選手」と思ったら星野監督は使い続けてくれますよね。


 いま、体調を崩されて長期療養されていますが、自分が18歳でプロに入った時、星野監督は「監督」といっても40歳でしたからね。とにかくもう、お元気で。いかんせんよく怒っているし、怖いし、厳しかったですね。いろいろと。

 もっとも、入ったばかりの頃はそんなにしゃべることもできなかったです。今はキャンプの取材をはじめ、どこかでお会いした時には、いろいろ野球の話をさせていただくようになりました。「親分」というか、とても頼りになる方ですし、怒ってはいるけど、実はもの凄く我慢強い方でもあります。何より、選手を育てるのがうまい監督だと思いますね。


立浪和義(たつなみ・かずよし)

1969(昭和44)年8月19日生まれ、大阪府摂津市出身。PL学園高〜中日。PL学園高では1年秋からショートのレギュラーを獲得。3年時は主将として甲子園春夏連覇を果たした。中日からドラフト1位指名を受け、1988年に入団。1年目の開幕戦に、高卒ルーキーながら2番・遊撃手で先発出場した。同年に新人王と高卒ルーキー初のゴールデングラブ賞を受賞。さまざまな打順、守備位置を経験し、2003年に2000本安打を達成。2009年に引退するまで、生涯中日を貫いた。通算487二塁打はNPB記録で、プロ生活初安打も、最後の安打も二塁打だった。引退後は解説者を務めるとともに、2012年秋から2013年春のWBCまで日本代表の打撃コーチを務めた。

【構成=オグマナオト】

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