センバツに限った話ではないのだが、筆者はトーナメント表を見るとまず「死のグループ」を探す。トーナメント戦を勝ち上がるには、いかに余力を残しながら戦い続けられるか、つまり「死のグループ」を避けられるのがカギと思っているからだ。
どんなに強いチームでも、序盤から死闘を繰り返せば、いずれ疲弊するもの。そしてライバルの一刺しに屈する……、というのは歴史が証明している。そんな観点を持ちながら、センバツ優勝予想として、まずは優勝候補筆頭の大阪桐蔭(大阪)をチェックしたい。
大阪桐蔭が入ったヤグラには明秀学園日立(茨城)、東邦(愛知)ら前評判の高いチームが揃った。十分に「死のグループ」に値する。大阪桐蔭は次々と襲い掛かってくる強豪を打ちれるか。まずは準決勝まで勝ち抜くことがひとつのテーマになりそうだ。
群雄割拠という意味では東海大相模(神奈川)、四国大会と明治神宮大会で優勝した明徳義塾(高知)が入ったヤグラが極めて熱い。北海道大会優勝校の駒大苫小牧(北海道)、東北大会優勝校の聖光学院(福島)、関東大会優勝校の中央学院(東京)、北信越大会優勝校の日本航空石川(石川)、東海大会優勝校の静岡(静岡)、と秋の地区王者がズラリと揃った。
初戦で対戦する明徳義塾と中央学院は明治神宮大会準々決勝の再現。その時は5対3で明徳義塾が勝ったが、接戦は必至。もちろんほかの試合も激しい戦いになるだろう。
どのチームも序盤で力を出し切ってしまう事態になると、その先の戦いは厳しくなる。とはいえ、先を見越して戦力を温存して負けたら本末転倒。このヤグラに入ったチームは、そんな葛藤にも勝たなければいけない。
こうして見ていくと、有力校のなかで比較的消耗を抑えながら走り続けられそうなのは、智辯和歌山(和歌山)、創成館(長崎)、日大三(東京)あたりに絞られる。
智辯和歌山と創成館は勝ち上がれば準々決勝で対戦。勝ち方いかんで勢いをつけることができれば、決勝が見えてくる。もちろん、前述した明徳義塾など秋の地区王者が揃った「死のグループ」を勝ち上がったチームを準決勝で対戦し、破ることが条件となるが……。「死のグループ」を突破したチームは消耗どころか、逆に勢いづいている可能性が高い。果たして……。
一方、大会2日目から登場の日大三は6勝しないと優勝できない。この日程がどう出るか。投手のマネジメントを考えると、試合数は1試合でも少ないほうがよさそうだが……。
いずれの有力チームにも懸念点はあるが、筆者は最後に名前を挙げた日大三を優勝予想の本命に推したい。優勝まで6勝が必要とはいえ、同じヤグラに前評判の高いチームが少ないのはメリットが大きいはず。
2012年以降の日大三は春夏とも初戦敗退が続いているが、初戦をクリアすれば一気に波に乗るだろう。強打で相手をねじ伏せ、2011年以来の優勝まで突っ走ってほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)