10位 強豪が順当に勝ち進む。日ハム入り屋宜が好投
―――社会人野球日本選手権
第38回社会人野球日本選手権は、10日(土)時点で、準々決勝に進出する8チームが出そろっています。11日(日)に行われる準々決勝は、七十七銀行−パナソニック、JR九州−JR東日本、トヨタ自動車−東邦ガス、JX-ENEOS−日本生命の4試合。
西濃運輸、ホンダ、JR九州など実力あるチームがそろったブロックからは、JR九州が勝ち上がりました。また、東邦ガスが創部85年で初の8強入りを果たしています。自衛隊チームで初の全国大会出場を果たし、話題となった航空自衛隊千歳は惜しくも1回戦で敗退しています。
準決勝は12日(月)、決勝は13日(火)に、共に京セラドーム大阪で行われます。勝ち残ったチームの今年のドラフト指名勢としては、JR東日本の戸田亮(オリックス6位)とJX-ENEOSの屋宜照悟(日本ハム6位)がいます。戸田は中継ぎとして貢献、屋宜は2回戦のニチダイ戦に先発し、6回2失点で勝利投手になっています。
9位 大阪がサヨナラ勝ちで新加入初年度総合優勝
―――女子プロ野球(GPL)
5日(月)、日本女子プロ野球リーグの前期、後期の優勝チームが総合優勝を賭けて戦う総合優勝決定戦で、大阪ブレイビーハニーズ(後期優勝)が5対6で京都アストドリームス(前期優勝)からサヨナラ勝利。後期優勝の勢いそのままに頂点へ。大阪は日本代表の中心投手だった小西美加らが移籍して、リーグ加入1年目のチームでしたが、総合優勝決定戦では、その小西が先発し完投。さらに6回には左翼への勝ち越し本塁打、最終回にはサヨナラ死球を受けるなど、八面六臂の活躍を見せました。
来季から東京に新球団を設置する予定のGPLは、23日(祝・金)、24日(土)に、小西選手に続く「リーグの顔」を発掘するべく合同トライアウトを実施するとのこと。合わせて東京球団の運営スタッフも募集しているそうです。詳しくはGPLの公式ウェブサイトまで。
8位 中日のキャンプの「お弁当」が話題に
―――NPB秋季キャンプ
ドラフト、FA、契約更新と編成にまつわるオフの話題が盛んですが、各チームは全国で秋季キャンプを実施中。
九州で行っているのは広島(宮崎県日南市)、DeNA(鹿児島県奄美市)、ソフトバンク(宮崎県宮崎市)。四国は阪神(高知県安芸市)、ヤクルト(愛媛県松山市)、オリックス(高知県高知市)。沖縄は中日(北谷町)、日本ハム(国頭村)。その他に西武が埼玉県所沢市で、楽天が岡山県倉敷市で、ロッテが千葉県鴨川市で行っています。
各キャンプ地での出来事がいろいろと報道されていますが、中日の高木守道監督が若手10人に絞って行っているキャンプについてのニュースには、想像をかきたてられます。
ニュースの内容は、キャンプが「経費削減を理由に、昼食は弁当1個、大浴場は有料、移動はマイクロバス1台」「高木監督が弁当の内容に不満を伝え、揚げ物中心から炭水化物中心のメニューに変えさせた」といったもの。高木監督のキャラクターを強調しようと拾われたニュースにも見えますが、球団の経費削減の実態と、配慮に欠ける球団サイドの姿勢をあぶり出すものとも取れそうです。中日の若手選手、頑張って…。
7位 巨人がアジアシリーズを制覇
―――アジアプロ野球
8日(木)から韓国・釜山で行われていた全6チームが出場するアジアのクラブ選手権「アジアシリーズ2012」を、日本代表の巨人が制しました。
オーストラリア代表の対パースヒート戦は小山雄輝が先発。5回までは3安打に抑えられていましたが、その後打線が爆発し、7-1で勝利。開催地枠で出場した対ロッテ・ジャイアンツ戦は澤村拓一が7回を零封。打線もよく打って5-0で快勝しました。決勝となる台湾代表の対Lamigoモンキーズ戦には、宮國椋丞が先発し、今季台湾でホームラン王を獲得した林智勝に一発を浴びるも、6回を1失点に抑えました。打線は石井義人のタイムリーツーベース、實松一成のホームランなどが飛び出し、計6得点。結局6-3で巨人が勝利し、日本代表としては2大会ぶりのアジアシリーズ制覇を果たしました。MVPには坂本勇人が選ばれています。
6位 明治神宮大会で富士大1年・多和田がノーノー
―――高校・大学野球
14日(水)まで開催している第43回明治神宮大会は、11日までに8試合を終了しています。
高校の部では、北照(北海道)、浦和学院(関東)、仙台育英(東北)と東日本の代表校が3試合続けて勝利。4試合目は関西(中国)が安田学園(東京)に競り勝ち、準決勝進出を決めています。
大学の部では初出場の富士大(東北3連盟代表)の1年生・多和田真三郎が国際武道大(関東五連盟第1代表)相手にノーヒットノーランを達成し準決勝へ。連戦となった桐蔭横浜大(関東5連盟第2代表)は松山大(四国・中国三連盟代表)、大体大(関西五連盟第一代表)に連勝し、こちらも準決勝に進んでいます。
そして閉校を間近に控えている三重中京大(北陸・東海三連盟代表)は、京都学園大(関西5連盟第2代表)に勝利。楽天からドラフト指名を受けたエースの則本昴大は、12奪三振で全国大会での初勝利を挙げています。12日には東京六大学連盟代表の法政大と東都大学野球連盟代表の亜細亜大が登場します。
5位 DeNAとオリックスが積極的なトレード、FA交渉情報も
―――ストーブリーグの話題
先々週からトレードや移籍がいくつか発表されています。まず巨人とオリックスの間では東野峻(投)+山本和作(内)と香月良太(投)+阿南徹(投)の2対2のトレードが決定。先発の枚数が足りないオリックスと、中継ぎ投手を求めた巨人とのニーズが合致しました。さらにDeNAとソフトバンクの間では吉村裕基(外)+山本省吾(投)+江尻慎太郎(投)と多村仁志(外)+神内靖(投)+吉川輝昭(投)のトレードが決定。当初はソフトバンクから大場翔太(投)が放出されるという噂もありましがた、最終的にはこの形に。
1対1では、西武とオリックスの間で原拓也(内)と山崎浩司(内)が、DeNAと日本ハムの間で北篤(外)と土屋健二(投)のトレードが決まっています。DeNAは昨年から「地域貢献室」を社長室直下の組織として設け、地域密着を図ってきましたが、多村、土屋といった横浜高出身選手の連続獲得からは、そのあたりへの配慮も感じとれます。ほかには西武を自由契約になっていた藤田太陽(投)をヤクルトが、また中日の久本祐一(投)を広島が獲得すると発表しました。
15日(木)から交渉が解禁されるフリーエージェント(FA)に関する情報も報道されています。権利を取得し複数年契約を結んでいない選手のうち、10日時点で行使すると発表しているのが、西武の中島裕之(内/海外)、日本ハムの田中賢介(内/海外)、オリックスの寺原隼人(投/国内)、日高剛(捕/海外)、阪神の平野恵一(内/国内)、藤川球児(投/海外)。
行使しないと表明しているのが、中日の朝倉健太(投)、谷繁元信(捕)、阪神の福原忍(投)、安藤優也(投)、桧山進次郎(外)、浅井良(外)、ヤクルトの相川亮二(捕)、日本ハムの武田久(投)、ロッテの今江敏晃(内)。
FAに関する意思を表明していないのは阪神の鳥谷敬(内)といったところですが、鳥谷の動向はMLBからの復帰を目指す西岡剛(元ツインズ)、国内移籍も模索し始めた中島裕之らの動きにも影響を及ぼすため、注目が集まっています。今週、一気に動くかもしれませんね。
4位 12球団合同トライアウト、仙台で実施
――――ストーブリーグの話題
9日(金)、クリネックススタジアム宮城で合同トライアウトが実施され、投手36名、野手20名が参加しました。
実績上位選手としては、投手では通算73勝50セーブ50ホールドを挙げている44歳・木田優夫(元日本ハムほか)、通算105ホールドの星野智樹(元西武)、通算57ホールドの有銘兼久(元楽天)、通算38勝の川島亮(元楽天ほか)、通算25勝の朝井秀樹(元巨人ほか)。打者では、通算58本塁打の古木克明(元オリックスほか)、通算30本塁打の桜井広大(元阪神ほか)、727試合に出場した橋本将(元横浜ほか)、通算216安打を打っている小兵・中村真人(元楽天)などが現役続行を目指してプレー。全ての対戦118打数で21安打(.178)と、投手が力を示した結果に終わりましたが、この中から再びチャンスをつかむ選手は出てくるのでしょうか。
合格者には1週間以内に連絡が届くことになっています。なお、21日(水)には2回目のトライアウトが千葉県鎌ヶ谷市のファイターズスタジアムで行われます。
3位 三井ゴールデングラブ賞が確定
――――タイトル
結果はNPBの公式ページなどをチェックしていただくとして、印象に残った選考についていくつか。
パの捕手の炭谷銀仁朗(西武)は新鮮でした。捕手の守備をどこで評価しているのかは、投票者(新聞記者)によって異なりそうですが、139試合に出場して.416という盗塁阻止率が、大きく評価されたのかもしれません。日本ハム、ソフトバンクと比較してディフェンスに劣った西武にとっても、助けられる部分も多かったのでは?
パリーグの三遊間に目を向けると、三塁手に小谷野栄一(日本ハム)、遊撃手で中島裕之(西武)が選ばれましたが、ソフトバンクの松田宣浩、今宮健太コンビもいい動きをしていたと思います。
それからこれはひとつの意見ですが、賞の選考に当たっては、出場試合数の評価への影響はもう少し小さくてもよい気がします。選考対象となるための「全試合の1/2以上当該ポジションで出場」という基準さえ満たせば、純粋に守備の技術を評価するよう徹底すれば、より個性的で、意義のある賞になるのでは?
2位 日本人メジャーリーガーたちの動向は?
――――ストーブリーグの話題
昨オフは長期契約を結んでいたイチロー(ヤンキースをFA)と松坂大輔(レッドソックスをFA)が契約終了した今オフは、日本人メジャーリーガーを巡る移籍話も活発です。
イチローはヤンキースと再契約するという報道が主ですが、松坂の動向は不透明。MLBでのプレーを希望しているとされていますが、日本でもDeNA、オリックスが獲得を目指しているという話も。
ややネガティブな契約が待ち受けていそうな両者とは対照的なのが、好成績を残した黒田博樹(ヤンキースをFA)。ヤンキースから10億円ものオファーを一旦断り、さらに移籍交渉を続ける意向を表明しています。広島復帰説は毎年浮上し、今年もまた聞こえてきていますが果たして? レンジャーズ勢では、上原浩治・建山義紀がともにFA。上原はメジャー数球団から、建山は日本から、オファーがあるようです。
一足先に交渉を開始していた西岡剛(ツインズを自由契約)は阪神入り濃厚とされていましたが、ロッテやオリックスとも交渉を行い、それなりの手応えをうかがわせるコメントを残しています。阪神の野手・鳥谷敬や平野恵一がFA権を行使するかどうか、また、阪神が獲得を目指していると伝えられている中島裕之(西武)の動向との兼ね合いもあり、まだまだわからない状況ですが、金本知憲、城島健司のベテラン2人の年俸負荷がなくなった阪神は、潤沢な資金をマネーゲームにつぎ込むとも見られています。二塁・西岡、遊撃・鳥谷、三塁・中島などという布陣もあり得るのでしょうか…。なお阪神は五十嵐亮太(ヤンキースを自由契約)も獲りにいっています。
その他では、やはりヤンキースを自由契約になった福留孝介の日本復帰が報じられましたが、メジャーでのプレーを目指していると見られ、動きは来月以降になるかと思われます。今シーズン中盤から浪人状態の松井秀喜(レイズを自由契約)にはアストロズが興味を示したという報道が。日本では巨人がオファーを出しています。
岩隈久志(マリナーズ)は後半戦の活躍で好条件で契約延長を勝ち取りましたが、高橋尚成(パイレーツをFA)、斎藤隆(ダイヤモンドバックスをFA)、川崎宗則(マリナーズを自由契約)の動向はまだわからず、日本復帰の可能性も残っています。
1位 キューバと戦う“侍ジャパン”メンバー発表
―――WBC
16日(金)、18(日)にそれぞれヤフードームと札幌ドームで行われる日本代表の強化試合に出場するメンバーが発表されています。投手13人、野手16人のメンバーには、メジャーリーガーは1人も選ばれず、国内組での編成となりました。投手が若手中心で構成されたのが特徴です。WBC本戦では、今回メンバー入りしなかった各チームの主力投手が選ばれると考えられ、投手については相当顔ぶれが変わりそうです。ただ、中継ぎやワンポイント役は、今回のキューバ戦での活躍次第ではそのまま代表入りということもあるかもしれません。
野手は、アジアシリーズでも存在感を見せている阿部慎之助(巨人)、攻守にすぐれた松田宣浩(ソフトバンク)、日本ハムの打線を牽引した糸井嘉男(日本ハム)を中心に、井端弘和(中日)、坂本勇人(巨人)らが発表されました。また、T-岡田(オリックス)や筒香嘉智(DeNA)などパワーが売りの若手、一方では本多雄一(ソフトバンク)、大島洋平(中日)、秋山翔吾(西武)ら守備型の選手も選出されており、なかなかバランスのよい人選に映ります。
侍ジャパンは強化試合終了後に50名の暫定メンバーを発表。12月に最終選考を行い、2月の合宿を経て3月の第一ラウンドを迎える予定になっています。
(まとめ)
DeNAとオリックスはトレードに動く一方で、国内・海外を問わずFA選手の獲得にも積極的で、ストーブリーグの中心となっている状況です。さらに、大物の獲得を目指す阪神の動きもあり、選手の移動が少ないと言われてきた日本のプロ野球ですが、今年に限ってはなかなか変化に富んだオフの幕開けとなっています。
アジアシリーズも巨人が制して幕を降ろし、球界の次の実戦はWBC一次ラウンドということになりました。出場決定までの経緯は混乱続きでしたが、三連覇に向けて一丸となれるのでしょうか? 期待したいところです。