「野球芸人」4人目に登場するのは松村邦洋さん。
熱狂的なタイガースファンとして有名な松村さんに、野球に目覚めた原点とタイガース愛を存分に語ってもらいました。全5回に渡る短期連載、初回がスタートです!
好調だったマー君と悔恨のマエケン
こんにちは、掛布雅之です。じゃなかった、松村邦洋です。
『野球太郎』はいつも読ませてもらっています。解説者の方も『野球太郎』を読んでますよね。掛布さんも「コレいいよ!」と言ってましたから。スカウトの方も持っているって言うし、非常に詳しいですよね。
今年のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージは阪神タイガースと広島カープの戦いでした。この記事が出る頃にはもう結果も出ていると思いますが、どうだったでしょうか? 我が阪神タイガースは、一番元気がない状況でCSに突入してしまったのが気がかりです。ホント、春先の調子だったら良かったんですけどね。
「3位」という順位のありがたみ
阪神は、今年に限らず「優勝を逃した2位」という精神状態でCSに入ることが多いからか、割とCSで勝てないんですよね。以前、金本知憲さんも、CSは気持ちの持っていき方が難しい、とおっしゃっていました。
でもですね、シーズン終盤に阪神の二軍戦を観に行ったんですけど、今季ずっと外野で出場していた今成(亮太)選手をファーストで起用していたんですよ。CSでの非常事態を考えて、外野と一塁をどちらでもいけるように考えてのことだと思います。その準備が実っているといいんですけどねぇ。
でも、今年のセ・リーグを盛り上げてくれたのは、やっぱりカープですよね。広島は16年ぶりのAクラス。苦しみながら勝ち上がって来たからこそ、「3位」という順位のありがたみを1番わかっているチームですよね。
野球界っていうのはなかなか理不尽で、やっぱりお金を使って補強したチームが勝ってしまうワケです。その中でカープは、菊池(涼介)選手とか丸(佳浩)選手をはじめじっくり選手を育ててきた球団です。特に菊池選手の守備は素晴らしいですね。今シーズンは、二塁手の補殺記録のリーグ新記録を打ち立てました。達川光男さんも、「あの守備はメジャーでも通用する!」とおっしゃっていましたよ。
田淵と掛布を施す町で生まれました
僕が生まれたのが山口県の「田布施町」と言って、田は「田淵」の田、布は「掛布」の布、つまり「田淵と掛布を施す町」という素晴らしい名前の町なんです。僕の親もよく「タイガースに縁のある町だ!」なんて適当なこと言ってましてね。まぁ、阪神の歴史よりも町の歴史の方が古いんですけど(笑)。親がそんな風にタイガースファンだったので、僕も自然とタイガースファンになりました。
でも、地理的な影響か、まわりにはカープファンが多かったですね。親の代は阪神ファンが多いんですけど、ちょうど僕が子どもの頃がカープの黄金時代で、まわりはみんな「カープ! カープ!」と騒いでいましたね。クラスメイトはカープファンばかりでした。僕なんか、反主流派というか天の邪鬼なんで、今だったらむしろカープを応援していると思いますよ。だからきっと、関西に生まれていたら阪神ファンにもなってないんでしょうね。
同級生・河本育之との思い出
実は小・中の同級生に、プロ野球選手がいました。千葉ロッテと読売ジャイアンツで活躍した河本育之君です。彼とは小学生の頃から一緒でしたが、ソフトボール投げで55メートルも投げていましたよ。ソフトボール投げってそんなに飛ばないですよね。
彼は田布施工業高校に進学後、硬式野球ではなく軟式野球を続けていたんです。そこからプロに進んだ、というのが同級生ながら凄いことだと思います。高校卒業後に社会人野球の新日鐵光(現・光シーガルズ)に入ってから硬式野球を始めたわけですが、地元にそういう企業があり、軟式野球まで幅広く見てくれていたのが大きかったんじゃないでしょうか。今は地方の企業スポーツにとって大変な時代で、そういった受け皿がますます少なくなっているのが残念ですよね。
ちなみに僕も高校時代に軟式野球をやらせていただきました。そして、同級生の河本君とも対戦したことがあります。ある試合で僕が三塁コーチを務め、ランナーをまわしたらホームでアウトになって負けた試合があったんですけど、僕がいい判断をしていれば、同点くらいになっていたのかなぁと今でもたまに思い出します。後にプロに進んだ選手と対戦したことがある、というだけでも自慢ですけど、どうせなら勝ちたかったですよね。