先日行われた栃木県大会決勝は、國學院栃木がようやく作新学院に勝った。
栃木では、2011年から7年連続で夏の甲子園に出場し、2016年には甲子園制覇を果たした作新学院の天下が続いている。そのなかでここ2年、國學院栃木は2016年夏決勝、2016年秋準々決勝、2017年夏決勝と作新学院に敗退。甲子園が見えてきたところで、いつも作新学院の厚い壁に弾き返されてきた。
2016年からの公式戦で國學院栃木は22試合を戦い18勝4敗。そのわずか4敗うちの3つが、大一番での作新学院戦だったのだ。
今秋、リベンジを果たした決勝のスコアは5対4。8回表に同点に追いつかれるも、その裏に決勝点を挙げ逃げ切った。昨夏決勝で1対15と大敗した悔しさが粘りを生み、接戦を制した。
國學院栃木は関東大会で2勝を挙げると、2000年以来のセンバツ出場が見えてくる。2000年のセンバツではベスト4に大躍進。作新学院もベスト8と好成績を残した。関東大会では、國學院栃木と作新学院が当たるとすれば決勝戦。両校ともセンバツ出場の芽はある。18年前にアベック出場した選手が、現在両校の監督を務めているという共通項もあり(國學院栃木・柄目直人監督、作新学院・小針崇宏監督、ともに筑波大出身)、18年ぶりのアベック出場が叶えば話題性も十分だ。
東北大会決勝に進出したのは聖光学院と花巻東。6対4で競り勝った聖光学院が優勝を決めた。来春のセンバツは90回記念大会のため東北の出場枠は3枠。両校にセンバツ当確ランプが灯った。
聖光学院は夏の甲子園11年連続出場中の言わずと知れた甲子園常連校。いつも甲子園で見ている気がするが、センバツは5年ぶり。東北大会は今回が初優勝で、来月の明治神宮大会も初出場となる。これまでは夏に向けてチームを仕上げてくる印象が強かったが、新チームは秋から結果を残した。
また、聖光学院はBチームも含めた激しいレギュラー争いでも知られている。そこにきて明治神宮大会、センバツを経験することで、夏に向けてさらにチーム力アップするのは想像に難くない。
夏の甲子園では毎回のように実力校に数えられるが、最高成績はベスト8。もうひとつ壁を越えられない状況が続いている。しかし、今秋、来春に踏む全国の舞台をステップに、一皮むけそうな気配。来夏の甲子園準々決勝突破が現実味を帯びてきている!?
2校を除きベスト16(3回戦)の顔ぶれが出揃った東京都大会。早稲田実対関東一(2回戦)という全国屈指のカードがこれから行われるほか、東海大高輪台、国士舘(現ベスト32)、日大豊山、日本ウェルネス、帝京、日大三ら楽しみなチームが勝ち上がっている。
通信制高校の日本ウェルネスは2015年夏4回戦、2016年夏5回戦、2017年夏5回戦(いずれも東東京)と力をつけてきており、今秋はベスト16までたどり着いた。これからの戦いぶりが気になるが、ここであえて注目したいのは東海大高輪台だ。
東海大高輪台は全国にある東海大付属校で唯一、甲子園の土を踏んでいない。最速147キロのドラフト注目投手・宮路悠良(3年)を擁して、2度目の東東京大会決勝に勝ち進んだ今夏はチャンスだったが、二松学舎大付に1対9と思わぬ大敗。絶好の機会を逃してしまった。
近年の甲子園では2015年春に東海大四(現東海大札幌)が準優勝、2015夏に東海大相模が優勝、2017年春に東海大福岡がベスト8と、依然として「タテジマ」のユニフォームが存在感を発揮している。東海大高輪台の新チームは、今夏の完成度にはまだ至っていないが、そろそろ甲子園で暴れまわる「タテジマ」の列に名を連ねたいところだ。
文=山本貴政(やまもと・たかまさ)