2015年には正捕手としてリーグ優勝に貢献。オフにはプレミア12の日本代表にも選出された中村悠平。しかし昨シーズンは、打力に勝る西田明央にオールスター・ゲーム明けからレギュラーを奪われ、ベンチを暖める日が続いた。
昨年の秋季キャンプ、今年の春季キャンプで、真中満監督は「総合力に優れている方を使う」と語り、2人は熾烈なレギュラー争いを繰り広げた。オープン戦では中村が16試合で打率.333、1打点。西田が11試合で打率.421、1本塁打、1打点と結果を残した。
迎えた開幕戦、スタメンマスクを被ったのは中村だった。4月18日現在、全試合でスタメン出場し、チームトップの打率.326をマーク。さらに得点圏打率.400と勝負強さも発揮。完全にレギュラーの座を確保した。
一方、西田はわずか2試合の出場にとどまっている。しかし、畠山和洋が18日の試合で負傷交代。昨シーズン同様に、一塁手として出番が増えるかもしれない。
昨シーズン後半、大引啓次に変わり、遊撃のポジションでのスタメン出場が多かった西浦直亨。2人は法政大の先輩・後輩の間柄でもあり、西浦は契約更改時に「若さで勝負したい」と笑顔でコメント。今シーズンは2人による遊撃のレギュラー争いが起き、「世代交代なるか」と注目されていた。
しかし、三塁の川端慎吾が椎間板ヘルニアで戦線離脱。西浦が三塁に回ることになり、遊撃のレギュラー争いは起きなかった。
4月18日現在で大引が打率.200、西浦に至っては打率.095。ともに結果を残せていない。法政大出身選手の名誉に賭けて奮起をうながしたい。
昨シーズン、坂口智隆が加入したことで、懸念だった中堅の穴を埋めることに成功したヤクルト。しかし、その坂口が開幕直後にインフルエンザを発症し登録抹消。計らずして、再び中堅のレギュラー争いが起こることになってしまった。
坂口の登録抹直後に起用されたのは比屋根渉と山崎晃大朗。しかしその後は、右翼の雄平を中堅に回し、代打で結果を残した鵜久森淳志を右翼で起用する方針が取られている。
比屋根はスタメン出場で4打数ノーヒットと結果を残すことはできなかった。山崎は2安打を放ったものの、鵜久森のサヨナラ打にはアピール度で敵わなかった。
比屋根、山崎は代打、代走、守備固めなど途中出場でレギュラーへの道を切り拓いていかなければならないだろう。1打席、1プレーで結果を残すのは難しいが、レギュラー獲りに向けてチャンスを掴んでほしい。
文=勝田 聡(かつたさとし)