1人目は、4月24日の楽天戦で右足内転筋痛を発症し、戦列を離れた岸孝之。
復帰初戦となった6月17日のヤクルト戦では、まだエンジンをしっかりとかけられず6回を3失点。しかし7月からの岸には、これまでの借りを返す投球に期待したくなる。
というのも昨季こそイマイチだったものの、
・2014年:11戦6勝(2敗)
・2013年:13戦7勝(負けなし)
と、夏場の成績がすこぶる良いからだ。
2年ぶりの2桁勝利もまだまだ可能性はある。それが叶えばエース足る貯金の数になっているだろう。ここから3カ月の岸から目が離せない。
昨季、216安打で日本記録を塗り替えた秋山翔吾。今季は打率.314でパ・リーグ2位につけているが、比較対象が昨季になってしまいがちなだけに、ファンとしては物足りなく映ってしまう。
ファンを贅沢病に陥らせるまでに成長した秋山。ほとんどの打撃スタッツは昨季よりも落ちているが、昨季と変わらないものもある。それは出塁率で、.419と1試合に2回は何かしらの形で塁に出ているのだ。
そこで逆に、1回も出塁できなかった試合と、1回だけ出塁した試合を数えてみた。
・無出塁:4試合
・ヒット1本のみ:11試合
・四死球1つのみ:6試合
このように、秋山が自分の仕事をできなかった試合は21試合あったのだが、驚くべきことにこの21試合での白星が…、なんと3つだけ。
クリーンナップの爆発的な得点力が魅力の西武だが、その導火線に火をつけているのは秋山、ということがあらためてわかる数字だ。
逆にいうと、秋山が2回塁に出た試合は勝つ確率が飛躍的に高まるわけだから、西武プリンスドームで応援しているファンは、初回から本気になって「突撃! 突撃! 秋山!」を叫んでエールを送ろう。
ペナントレースの半分が過ぎて、順位が固まってきた感のあるパ・リーグ。借金を抱える身ではあるが、風穴を開けられるのは西武しかいない。
なぜなら今回挙げたキーマンが、自分の仕事をきっちりとするだけで、チームの勝率が一気に高まるからだ。
当たり前のことを当たり前にやるのも簡単ではないが、自分の持っていない力は逆立ちしても出すことはできない。
エースとリードオフマン、今こそ自分のベストを尽くすときだ!
文=森田真悟(もりた・しんご)