清宮の競合・抽選を嫌う球団、即戦力左腕がのどから手が出るほど欲しい球団が1位入札する可能性が高い田嶋。佐野日大高時代は3年時にセンバツに出場。4試合全てをひとりで投げ抜き、ベスト4の実績を残している。
2回戦の智辯学園高戦では岡本和真(巨人)、廣岡大志(ヤクルト)と対戦。岡本を4打数1安打(2三振)、廣岡を5打数1安打と、のちに高卒プロ入りを果たす2人をしっかりと封じ込めた。夏は甲子園に出場できなかったものの、当時からプロ注目の存在だった。
田嶋が高校3年だった2014年のドラフトで指名された高校生左腕は、塹江敦哉(高松北高→広島)、笠谷俊介(大分商高→ソフトバンク)、齋藤綱記(北照高→オリックス)の3人。田嶋が志望届を提出していれば彼らと同じように中位から下位でのプロ入りはありえただろう。しかし、体力強化を理由としてプロ志望届は提出せず、社会人のJR東日本入りを選択。3年後のプロ入りを目指したのだ。
JR東日本入社後は1年目から戦力として活躍。14試合に登板し、チームの主戦投手・進藤拓也(DeNA)、関谷亮太(ロッテ)らに次ぐ8試合(公式戦)に先発。トータル48回1/3を投げ、56奪三振、防御率3.72をマークした。社会人野球の2大大会の1つである日本選手権でも登板。1年目から上々のスタートを切った。
侍ジャパン社会人代表の一員としてBFAアジア選手権にも出場。2試合で5回1/3を投げ、1勝0敗、8奪三振、防御率0.00を記録している。この大会でともに戦った投手陣からは近藤大亮(パナソニック→オリックス)、酒居知史(大阪ガス→ロッテ)、山岡泰輔(東京ガス→オリックス)と3人がプロ入り。田嶋にとっても大きな刺激となった。
社会人2年目の2016年はエースに成長。16試合に登板し、チーム最多の11試合に先発。92回1/3を投げ、103奪三振、防御率2.24と安定した投球を披露。2年連続で投球回数を奪三振が上回った。その武器はサイドスローとスリークオーターの中間から繰り出される角度のあるクロスファイヤー。しなやかなフォームから投げ込む150キロを超えるストレートは、プロでも通用するとの呼び声が高い。また、スライダーのキレもよく、コンビネーションで三振を量産する。
ドラフト解禁年となった今年は、スポニチ大会から打ち込まれるケースが多く、不安が駆け巡った。しかし、徐々に調子を上げ、都市対抗野球では2試合連続完封勝利。日本選手権・関東最終予選でも3安打1失点完投勝利を挙げ、自身最後の2大大会になるであろう日本選手権への出場をほぼ確実なものとした。昨年はドラフト指名された池田駿(ヤマハ→巨人)が日本選手権の優勝に貢献し、MVPを受賞する有終の美を飾った。田嶋も続きたい。
10月2日から台湾で行われるBFAアジア選手権の侍ジャパン社会人日本代表にも選ばれており、最後のアピールを行う場となる。社会人日本代表のエース左腕としてチームを引っ張り、ドラフトへ弾みをつけたい。
清宮がいることで現段階では予想がしにくい状況だが、田嶋はどの球団に指名されるだろうか。複数球団の競合が確実視されているものの、清宮の競合具合によっては一本釣りという結果もありえるかもしれない。10月26日のドラフト本番を楽しみに待ちたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)