ヤクルトファンだけでなくプロ野球ファンが気になるのは監督の去就問題だろう。ヤクルトは真中満監督が辞任を表明。球団に慰留されたものの今シーズン限りでの退陣は決定し、後任の監督が誰になるのか注目が集まっている。
各紙の報道によると高津臣吾2軍監督が有力とされているが、既定路線というわけではない。しかし、名前の挙がっている古田敦也氏、宮本慎也氏らより可能性は高いだろう。
投手出身の高津監督が誕生となれば、ヤクルトにとっては1987年から1989年まで指揮を執った二刀流の関根潤三氏以来29年ぶりとなる。純粋な投手でみると関根監督の前任である土橋正幸監督(1984年〜1986年)以来だ。両監督ともにAクラス入りはないが、高津監督にはイヤな流れを吹き飛ばしてもらいたい。いや、まだ確定ではないのだが……。
昨シーズンオフに単年契約を結び、今シーズンに臨んだバレンティン。開幕前に行われた第4回WBCでは、ベストナインに輝く活躍を見せてくれた。登録抹消はあったものの、ここまでチームトップの29本塁打を放ち存在感を示している。しかし、バレンティンはメジャー復帰の希望を持っており、今シーズン限りでヤクルトを退団する可能性が高い。
バレンティンに代わる来シーズンの外国人野手をどのように選定していくかは、注目すべきポイントだろう。戦力的に考えてもリベロ、グリーンと再契約でお茶を濁すことは考えにくい。数々の「当たり」外国人を獲得してきたスカウティングに注目したい。
セ・パ両リーグが発表した数字によると、前半戦のヤクルトの観客動員数は25,559人。チーム状況が悪いなか、前年比で8.7%増と伸び率は12球団トップだった。筆者は神宮球場で行われる全試合を観戦しているが、体感的にも観客動員は増えている。数年前の外野自由席は19時に球場へ入っても、空席が多く見られた。しかし、今年は19時では座れないことも珍しくない。
優勝争い、クライマックスシリーズの出場争いから脱落。トップクラスの選手である山田哲人も不調でトリプルスリーは絶望的。また、今シーズンは目新しく斬新な「すごいイベント」が行われたわけでもない。ましてや、今シーズンは雨天の試合も多く、多くの動員が見込めるビール半額デーも晴天では1試合のみ、にもかかわらずである。
これはヤクルト球団が営業活動を頑張っている証でもある。この動員が来シーズン以降も続くのであれば、ファンが根づいてきたと言えるのではないだろうか。ガラガラの「居酒屋神宮」が好きなファンも多いだろう。
しかし、プロ野球は満員の観客が入ってこそだ。来シーズンも多くのファンが球場へ足を運ぶことに期待したい。
(成績は8月31日現在)
文=勝田聡(かつたさとし)