プロ初先発で初勝利を挙げたのは石川柊太だ。
2013年の育成1位でソフトバンクに入団。入団当初は故障で苦しんだが、ファームで活躍し、2016年7月に支配下登録選手となった。
田中正義、高橋純平、松本裕樹と3人のドラ1がブルペンに顔を揃えたことで話題を呼んだ今年のキャンプでも猛アピール。楽天との練習試合では155キロをマーク。オープン戦でも結果を残し、開幕1軍切符をゲットした。
4月4日の楽天戦で1軍デビュー。負けている場面が中心だが中継ぎでの起用が続き、5月16日のオリックス戦でプロ初ホールドを挙げる。そして、千賀滉大離脱の受け、5月31日の中日戦でプロ初先発を任された。
その試合では、6回を投げて被安打6の2失点。中日の拙攻に助けられた感もあったが、ピンチをしのぎ、四死球はゼロで先発の役割を果たした。降板後は、リリーフの3投手がしっかり抑え、プロ初勝利をマーク。
6月7日のヤクルト戦では6回を1失点、12奪三振。ヤクルト打線を抑え込み、2連勝を飾った。
松本は石川よりひと足早く先発のマウンドを踏んだ。
2014年のドラフト1位で入団。斉藤和巳がつけていた背番号66を譲り受けたことからも期待の高さがうかがえる若手投手だ。
高校時代に右ヒジを痛めていたため、1年目はリハビリに専念。2年目は1イニングながら1軍初登板を果たした。3年目の今季は2軍の先発ローテで実績を積み、5月27日の日本ハム戦でプロ初先発のマウンドに立った。
試合は序盤からソフトバンク打線が爆発し、4回表時点で11対2と大量リード。プロ初勝利が期待されたが、勝ち投手の権利を手にする直前の5回につかまり6失点で降板。四球でピンチを広げ、ストライクを取りにいくところを打たれるという課題の多い初先発となった。
しかし、その翌週、6月3日のDeNA戦では5回2/3を投げ3失点。四球はゼロ。攻めのピッチングでDeNA打線を抑え、プロ初勝利をマークした。
ファームに目を向けると、2015年のドラ1・高橋純平とドラ2・小澤怜史も先発の一角で奮闘中。さらには攝津正、寺原隼人、大隣憲司らベテラン陣も、再び1軍から呼ばれる日を、首を長くして待っている。
1軍で1勝、2勝したくらいでは、先発ローテの座は安泰じゃない。ファームには、アピールする投手はまだまだ控えている。
リーグの順位は依然2位のままだが、得意の交流戦では首位に立った。恐ろしいほどの選手層の厚さで、交流戦後はさらに突き進んでほしい。
(成績は6月12日現在)
文=溝手孝司(みぞてたかし)
札幌在住の47歳。広告代理店運営、ライター、MC。生まれも育ちも北海道ながらホークスファン歴約40年。今年の「鷹の祭典」は多忙のため、残念ながら参戦断念。ちなみに「鷹の祭典」観戦成績は0勝3敗。観戦した年は優勝を逃しているので、行かないことで「ツキよ、こい!」と願う。