ドラフト上位候補・今永昇太、吉田正尚――“最後の秋”が始まる
【この記事の読みどころ】
・東都大学リーグ開幕! ドラフト候補、今永昇太と吉田正尚の活躍ぶりを追う!
・ドラ1候補・今永が約300日ぶりのマウンドへ! 復活登板を果たす
・ドラフト候補屈指のスラッガー・吉田は停滞……現状を直撃!
★296日ぶりのマウンド
明治神宮大会での歓喜の日本一から約10カ月。駒澤大のエース・今永昇太(4年・北筑高)が神宮のマウンドに帰ってきた。
昨秋の東都大学リーグで7勝を挙げ、個人タイトル3冠(最高殊勲選手、最優秀投手、ベストナイン)に輝く大活躍。駒澤大を26季ぶりの優勝に導いた。
続く明治神宮大会でも3試合14イニングを投げ、わずか1失点の活躍で日本一の胴上げ投手となった。
だが、ドラフト1位候補左腕として迎えた今年の3月に左肩の腱板を構成する棘下筋を肉離れし、戦線離脱。春季リーグ戦は1試合も登板できず、神宮球場のマウンドは昨年11月19日以来296日ぶりだった。
「(神宮球場では)久々に投げるということで、不安の方が大きかったです」と試合後、今永は登板前の胸中を素直に吐露した。
今永がマウンドに上がったのは延長12回裏。12回表に同期の前田滉平(4年・京都外大西高)のタイムリー二塁打で勝ち越した直後だった。
初球からストレートで145キロ、146キロを計測した今永だったが、3球目の146キロをとらえられ、同点の走者を出すと、牽制での連携ミスや2四球も重なり2死満塁、一歩間違えると逆転サヨナラのピンチを招く。
だが、最後は昨年からバッテリーを組む高橋亮介(3年・埼玉栄高)が二塁走者の大きく膨らんだリードを見逃さず、挟殺プレーで3アウト目を奪取。薄氷の勝利で開幕戦を制した。
「今日はピンチの場面で力づくになったり、力みがあって、亮介や周りの仲間に助けられました」と反省の弁を口にした。
現状は「自分のストレートに近づきつつありますが、まだ50%いくかいかないか」と話し、ここから状態を上げていきたいと話した。
★打率.200と苦しむ吉田正尚(青山学院大)
今春は2部リーグながら自身最高となる打率.389を記録し、今夏に韓国・光州で開催されたユニバーシアードでは、侍ジャパン大学日本代表の4番も務めた吉田正尚(4年・敦賀気比高)は、開幕から5試合で打率.200(20打数4安打)と好調とはいえないスタートを切った。特に2カード目となった立正大との3試合では、13打数1安打に抑えられてしまった。
チームも2カード5試合を終えて2勝3敗、勝ち点1(開幕カードは3回戦が雨天順延により未消化)と波に乗れずにいる。
吉田は14日の試合後、「凡退の内容もそれほど悪くはないのですが、外野もオーバーフェンスしないと安打にならないぐらい下がられている。その中で、上手く切り替えられていないというかモヤモヤしています」と語った。実際に、この日の試合ではホームラン性の当たりを好捕される不運もあった。
だが、前監督である河原井正雄アドバイザーは「誰だっていつでも打てるわけじゃないから気にしてないよ」と話し、善波厚司監督も「本人曰く、新しいことに取り組んでいると言っていたので、それが今は悪い方向に出ているのかもしれない。ただ彼は一段階上の考えを持ってプレーしているので、そこは尊重したい」とフォロー。結果は出ていなくとも、吉田への信頼は変わらず、今は耐える時と諭すように見守っている。
スカウトの間では「大学ナンバーワン打者」との呼び声も高い吉田。リーグ戦はまだ始まったばかり。これからの爆発に期待したい。
※2015年9月24日に発売される『野球太郎No.016 2015ドラフト直前大特集号』では、両選手の特集記事が掲載されます。下記のタイトルでそれぞれ6ページにわたり、詳細まで紹介していますので、ぜひご覧ください。
◎即戦力候補左腕にいったい何が!? 今永昇太(駒澤大)
完全復活への道 “普通の青年”がドラフト候補になるまで
◎東都2部のエース・原樹理(東洋大)と4番・吉田正尚(青山学院大)
甲子園のヒーローは2部で爪を研いでいた
文=高木遊(たかぎ・ゆう)
1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。大学野球を中心にアマチュア野球、ラグビー、ボクシングなどを取材している。高木遊の『熱闘通信(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/)』随時更新中。twitterアカウントは@ you_the_ballad (https://twitter.com/you_the_ballad)
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