数いる大阪桐蔭OBのなかでも、「野球小僧がそのまま大人になった」という雰囲気を醸し出しているのが中田翔(日本ハム)。
日頃からチームの後輩・近藤健介のカバンに鼻をかんだティッシュを入れるといったチャーミングなイタズラを仕掛けている。
もちろん今をときめく大谷翔平もイタズラの歯牙にかかった。試合中のベンチのなか、ゴミらしきものを大谷に放り投げる中田。犯人を探すためにキョロキョロと周りを見渡す大谷だったが、当の中田は知らんぷり。戦いの場であって、どこ吹く風である。そして、そのシーンを収めた一連の映像を見ると大谷はどこか嬉しそうだった……。
先のWBCでは筒香嘉智(DeNA)が標的に。中田が「カンチョー」を仕掛けられ悶えるシーンがメディアを通じてバッチリと報道された。筒香にとっては気恥ずかしい場面だっただろうが、おかげで緊張が解けたとかなんとか……。
ただ、大事な場面では勝負師のオーラをまとい、チームを勝利へ導く打棒を見せつける中田。「やるときはやる頼れるアニキ」だからこそ、イタズラも「お茶目」で許されるのだろう。憎めない男はこれからどんなイタズラを仕掛けるのか!?
2005年の高校生ドラフト1巡目で中日に指名され、プロの門を叩いた平田良介。
その後に中田翔、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)といったインパクトの強い後輩がプロに入ってきたため、キャラという面ではやや影が薄くなっていたが、侍ジャパンに選ばれるなど今や中日の顔に。
そんな平田だが、体質なのかとにかく体重の増減が激しい。現在の球団の公式プロフィールでは、「177センチ88キロ」とされているが、WBCでその姿を見たときは「もっと重いだろう」という印象を受けた。
平田の主な守備位置は左翼。守備面でのキレや体への負担を考えたらもう少しシェイプアップした方がいいかも……。実際に「痩せろ」と言われているようなのだが、それに対しての反論がすごかった。
「じゃあ、僕が痩せて打てなくなったら、責任取ってくれるんですかって話ですよ」
これぞ「我が道を行く」者としての正論だ。この発言を聞いたら、何も言い返せないだろう。
大物ぞろいの大阪桐蔭OBにあって、「一番、ヤバいのは実は平田ではないか」。そう思わずにはいられなかった。
中村剛也(西武)といえば本塁打王を6回獲得した球史に残るホームランアーチスト。好きな言葉が「おかわり」というように、食にも強いこだわり(?)を持っている。
2年前、そんな中村が怒りに震える事件が起こった。試合後に食べようと思って持ってきた2つのおまんじゅうが、忽然とロッカールームから消えていたのだ。
瞬時に「盗られた」と感じた中村は、「誰じゃ、まんじゅう食った奴は!」と言いながら、実に30分も探して回ったという。中村は関東の生活が長いせいか、インタビューなどでもあまり関西弁を聞かせない。それだけに「誰じゃ」からは並々ならぬ怒気を感じる……。
結局は諦めたようだが、「4億円プレーヤーなんだからまた買えばいいのに……」という感想は野暮というもの。中村とっては、それだけ試合後のおまんじゅうが大事だったのだ。
ちなみにこの事件は、西武のオフィシャルフリーマガジンで森友哉が詳細を語ったことで明らかになったのだが……、誰がそのおまんじゅうを食べたのか。諸説あるが、真相は未だ闇のなかだ。
ちなみに森は、ドラフト時にやんちゃな中学時代の「気合の入った画像」がネットに流出し、本人が本物と認めたことでも話題になった。
しかし、森はやるときはやる優しい男(中村のおまんじゅうは食べたかもしれないが……)。大阪桐蔭時代には、通学中に、線路に落ちた男性を助け出してJR西日本から感謝状をもらっている。また毎年、藤浪と一緒に恩師・西谷浩一監督(大阪桐蔭)に好物のベビースターラーメンを大量に差し入れているという。
最高のプレーに負けない、豪快で愛らしい逸話があってこそ一流選手の証。来週もまた、我々の凡なるものさしでは測れない選手の規格外エピソードをお届けしよう。
文=森田真悟(もりた・しんご)