高校野球・甲子園大会事件簿！ 深紅の大優勝旗がポキリ!?
いよいよクライマックスを迎える今年の甲子園大会。これまでの戦いぶりを振り返ってみても、どのチームが深紅の優勝旗を手にしてもおかしくはない。全国の球児が憧れ、たった一校しか手にすることができないこの優勝旗、実は過去に壊してしまった球児がいるのをご存じだろうか。優勝旗破損事故の現場をレポートしたい。
甲子園大会優勝校に授与される夏の「深紅の優勝旗」を壊してしまった球児、それは「初代ミスタータイガース」として有名な藤村富美男（大阪タイガース、のちの阪神）だ。
藤村はプロ入りする前の学生時代からスター選手。大正中では、1932（昭和7）年、1933（昭和8）年の大会に出場し、優勝こそ叶わなかったものの投打の柱として活躍した。そして、校名が呉港中に変わった1934（昭和9）年夏の大会でついに全国制覇を達成。当時の人々は、彼のことを“甲子園の申し子”と呼んだ。
ところが、その優勝後に事件は起きた。甲子園から地元広島に帰ると、駅前は優勝を喜び、呉港中ナインを一目見ようという黒山の人だかりで大混乱。そんな中、藤村が優勝旗を皆に見せようとしたところ、旗の柄の部分が何かにぶつかり、ポキリと折れてしまったのだ。その場はどうにかやり過ごしたものの、翌夏には優勝旗を返還しなければならない。慌てて旗屋に折れた優勝旗を持ち込み、柄の部分を取り替えたという。
そんな伝統を持つ深紅の優勝旗。藤村の時代からはさすがに代替わりしているものの、伝統と誇りが詰まった、高校球児の夢の結晶であることは変わらない。この夏はどの高校が持ち帰るのか？ 注目の決勝戦は明日20日、13時プレイボールの予定だ。
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