熊本のラジオ・テレビ放送局・RKK熊本放送が後援する「RKK招待高校野球大会」。清宮幸太郎(3年)を擁する早稲田実も参加したのだが、5月14日、地元・熊本の秀岳館戦で事件が起きた。
1対5と早稲田実が4点ビハインドで迎えた9回表、早稲田実の攻撃。2死走者なしの場面で、3番は清宮にも関わらず、2番・雪山幹太(2年)が敬遠されたのだ。
「夏の甲子園で(清宮)対戦するかもしれないから」と、秀岳館の鍛治舎巧監督は敬遠策の意図を説明したが、あまりの驚きに清宮は首を捻りながら打席に入った。
「自分と勝負」という敬遠策に困惑したのか、清宮は一ゴロに倒れ、あえなくラストバッターとなった。
今春、早稲田実には29人の1年生が入部。有望な球児も多く、レギュラー争いが活性化。なかでも遊撃争いが激化している。
現時点では、遊撃のレギュラーは先のセンバツで6安打4打点と活躍した野田優人(2年)が最有力だが、そこに勝負を挑むのが生沼弥真人(1年)。世田谷西シニアで全国大会も経験した生沼は、大型遊撃手(身長180センチ)としての活躍が期待されている。
練習試合では野田を外野に押しやって生沼が遊撃を守ることもあり、早くも頭角を現している。
先輩の意地か、後輩の勢いか。早稲田実の遊撃争いにも注目だ。
春季大阪府大会の決勝戦は、センバツ覇者の大阪桐蔭が大体大浪商を5対3で下して優勝。センバツ準優勝のライバル・履正社が5回戦で姿を消す波乱のなか、横綱はしっかりと結果を残した。
しかも、決勝までエース・徳山壮磨(3年)を温存しての優勝。他校としてはたまらないだろう。
西谷浩一監督が掲げたテーマ「投手陣の底上げ」を果たした大阪桐蔭ナインは、さらに強さを増して夏に挑む。
春季大会たけなわの東北地区。宮城の中部地区決勝は、仙台育英対東北という名門チームがぶつかる注目カードとなった。
しかしフタを開けてみれば、仙台育英が12対6のダブルスコアで東北を圧倒。センバツ出場の矜持を見せつけた格好だ。
ちなみに仙台育英の先発は、佐藤世那(オリックス)の実弟である佐藤怜央(3年)。初回、打線が3点を先取した直後に同点とされてしまったが、5回までしぶとく投げてチームの勝利に貢献した。
北海道では他支部に先駆けて札幌で支部予選がスタートした。
開幕日には札幌光星が札幌英藍を12対5で下したが、この試合では、2番手で登板した札幌光星の小北諒(2年)の投球フォームが話題に。斎藤雅樹(元巨人)や鹿取義隆(元巨人ほか)を彷彿とさせる投球フォームで4回2/3を被安打2、無失点に抑えたのだ。
小北は、高校入学後に父親のアドバイスでサイドスローに挑戦。往年の名投手2人の投球フォームがお手本になったそうだ。
小北は2回戦にも先発したが、残念ながら3対5で北海道科学大高に敗れた。夏にはさらに磨きのかかった投球に期待したい。
前回は中村紀洋(元近鉄ほか)の浜松開誠館コーチ就任のニュースを紹介したが、今回も高校野球の指導者となった元プロ野球選手の活躍を紹介しよう。
2016年4月から東海大静岡翔洋の監督に就任していた原俊介(元巨人)が、春季静岡県大会で同校を優勝に導いた。
昨年秋の県大会は3位決定戦に破れ、センバツ出場につながる東海大会への出場を逃したが、この春の初Vで得た自信を武器に夏の甲子園を目指す。
まだ春季地区大会も終わっていない地区があるが、これから夏期大会の日程と組み合わせが続々発表されていく。
まず、先陣を切って5月13日に発表されたのは愛媛。7月13日に坊っちゃんスタジアムで開会式が行われ、27日が決勝戦となっている(雨天中止などの場合は順延)。
第1シードはセンバツ出場校の帝京五、第2は松山聖陵、第3は済美、第4は宇和島東だ。
昨年の愛媛はアドゥワ誠(松山聖陵→広島)の活躍に湧いたが、今年も西川泰生(伊予、3年)や八塚凌二(済美、3年)ら有力選手が揃っている。手に汗握る熱戦が繰り広げられること請け合いだ。
開幕まであと約2カ月……。夏が待ち遠しい!
全国から様々なニュースが届くが、やはり気になるのは「清宮情報」。熊本でのフィーバーぶりも凄まじかったようだ。
高校通算本塁打の歴代1位記録(107本塁打、山本大貴・元神港学園)を更新することになったら、はたまた、最後の夏の甲子園に出場することになったら、どんな「清宮祭り」になるのか興味が尽きない。
『夏まで待てない! 春の高校野球ニュース!!』では、清宮はもちろん、気になるもニュースを逐一お届けしていくので、高校野球ファンの方はチェックしていただきたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)