イチローの出身校である愛工大名電高OBは律儀なのか(?)、古巣への出戻りが多く見られる。近年では山崎武司(元中日ほか)がそうだ。山崎は1986年のドラフト2位で中日へ入団し、オリックスを経て、楽天で2011年までプレー。
そして2012年からは再び中日へ戻り、NPB最年長記録となる43歳で開幕4番の座を勝ち取った。シーズンを通しては90試合の出場で打率.209、1本塁打、13打点と思うような成績を残せなかったが、翌2013年も戦力として現役を続ける。最後は2013年7月に引退を表明し、このシーズン限りでユニフォームを脱いだ(なお、2014年のオープン戦で1日契約を結び、引退試合を行った)。
続いて紹介する愛工大名電高OBはソフトバンク・工藤公康監督(当時は名古屋電気高)。1981年に西武に入団し、ダイエー、巨人、横浜と渡り歩き、結果的に現役最終年となった2010年は西武でプレーした。
このように愛工大名電高出身のレジェンドたちは古巣に出戻っている。
近年で印象的な古巣復帰となったのは、2015年に広島に戻った黒田博樹と新井貴浩だ。広島の投打の主力を務めた2人は、2007年オフに揃ってFA移籍。2015年に8年ぶりとなる古巣復帰を果たし、2016年にはチームを25年ぶりのリーグ優勝に導いた。力が衰える前に古巣へ戻り、チームを優勝させるという最高のストーリーに仕上げた。
また、今シーズンから西武で再びプレーする松井稼頭央もその一人だ。2003年オフに西武からメッツに移籍して以来、実に15年ぶりの古巣復帰となった。
2011年に日本へ戻ってきた松井は楽天で中心選手としてプレー。来季は指導者としての立場を打診されたものの、現役にこだわり、西武のユニフォームへ袖を通すこととなった。トリプルスリーを達成した2002年のような働きは望めないが、ベテランとして精神面、技術、経験を伝える役割を期待したい。そして、黒田、新井のようにチームを優勝へと導く原動力となってほしい。
イチローは最低でも50歳まで現役でプレーすると公言しており、マリナーズで引退するかはわからない。しかし、今がキャリアの終盤にあるのは間違いないだろう。今後、NPBでも古巣で現役晩年を過ごすケースが増えるのだろうか。オープン戦が始まってから、上原浩治も古巣・巨人と契約した。今後も日米ともにベテラン選手の動向にも注目したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)