岩手の有望選手、大会展望
7月11日〜24日(岩手県営野球場ほか)
150キロ右腕・松本が中心の岩手の夏
花巻東・八木と茂木は格別の存在感放つ
投手編
▲松本裕樹(盛岡大付)
松本を追う公立三羽ガラス
今年の岩手県高校野球の中心となるのは間違いなく松本裕樹(盛岡大付)。下級生時から主戦格として名門のマウンドを守ってきたプロ注目の右腕だ。今春の盛岡地区予選では、ついに150キロを計測。精密なコントロール、多彩な球種、打者との駆け引きに加え、さらに球速という強力な武器を手に入れ、ますます手のつけられない存在となった。プロで将来像を探せば、西武の岸孝之と見る。
また、チームメートの桜糀大輝も一冬を越えて劇的に変化。かつてのひ弱さは見事に解消され、140キロに迫る速球で押しまくる投球を身につけた。自信満々でマウンドに上がっているのがわかる。いい形で集大成の年を迎えた。
公立三羽ガラス≠アと清川航矢(盛岡三)、田村慎之介(福岡)、林史也(久慈工)の3投手は、下級生時からマウンドを任され、経験と実績を積み上げてきた。清川は130キロ台後半でキレのあるストレートを投げ込むアスリートタイプ。右スリークオーターの田村は昨年秋のフォーム改造がはまり球威がアップ。古豪復活の立役者となり、OBたちから久々の甲子園出場の夢を託されている。林はボールを低めに集め、大崩れしない投球が持ち味。ストレートとスライダーを軸にした組み立てで相手打者を翻弄していく。また久慈工には林と並び立つ好右腕・小田佑也もいる。これだけの素材が揃うこと自体が奇跡的な出来事。悲願の甲子園出場を目指す。
このほか、花巻地区予選で花巻東を完封し観衆をどよめかせた菊池亜聖(遠野)、“超遅球”で打者を幻惑する金澤拓弥(宮古商)、三陸の快速右腕・紺野快(大船渡)が虎視眈々と夏の主役の座を狙う。
そして突如出現したのが及川巧真(花巻農)。失礼ながらさほど期待していなかったが、そのマウンド姿はまぶしすぎた。まだ磨かれていない原石ゆえ投手として学ばなければならないことは多いが、その天賦の才だけで130キロを超えるストレートを投げ込んでいく。ぜひとも上を目指してほしい。
打者編
▲茂木和大(花巻東)
私立勢に巧打者・強打者
やはり際立つのは、花巻東の八木光亘と茂木和大の2人。ともに昨年の甲子園出場メンバーで、岩手県の高校球界では知らぬ者がいない存在。春の大会ではともに徹底的にマークされたが、その包囲網をかいくぐって快打を連発した。同校で外野を守る太田亮祐にも注目したい。兄・知将(東海大)は大谷翔平(日本ハム)と同学年で主力選手として活躍した。兄と比べれば、プレーの精度は劣るかもしれないが、スケールの大きさでは数段上。春季県大会の決勝でも本塁打を放つなど、華がある。
向島郁也(一関学院)は、力の抜けた打撃フォームからバットを一閃、ヒットゾーンへボールを運んでいく。そのたたずまいはまるで剣豪のようだ。同じく2年生捕手・高橋柊也は、昨年入学早々扇の要を任された逸材。定評のある守備はもちろん、4番を任されるなど、期待は高まるばかりだ。
これらに勝るとも劣らない打撃を見せるのは、専大北上の3番・吉田開(2年)と4番・高橋佳偉の「カイ・コンビ」。特に吉田は走攻守に完成度が高く、世代を牽引する選手に成長するだろう。
大会展望
私立2強の牙城に公立勢が迫る
夏を占う春季県大会では花巻東が9対7で盛岡大付を下し優勝。夏もこの2チームが主役の座を争いそうな気配が濃厚だ。“私立2強”の牙城を崩すとすれば、久慈工と盛岡三だろう。久慈工は昨秋県大会で盛岡大付を、盛岡三は今春県大会で一関学院を下すなど、ともに私立アレルギーは克服している。久々の公立勢の甲子園出場も夢ではない。ダークホース的存在は大船渡。2年生が台頭し3年生を脅かす存在に成長。この両輪が噛み合えば、上位進出も見えてくる。
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