ロッテが球団公式YouTubeチャンネルで2014年から配信しているのが、球団広報の梶原紀章氏が撮影している「広報カメラ」だ。
これまでに200本以上を配信し、開幕戦直前のロッカールームや練習風景、試合終了直後のベンチなどに密着。ときにシリアスに、ときにコミカルにチームの様子を伝えてきた。
今回の春季キャンプでも、キャンプ初日の朝を迎えたドラフト1位のルーキー・佐々木千隼や、練習に励む井口資仁、福浦和也の両ベテランに密着するなど、次々と映像を配信している。
なかでも再生回数が多かったのは、英二投手コーチ発案で投手陣が行ったブルペンでのインターバルピッチングの様子を撮影したもの。投げ込みを行う投手陣を見守る英二投手コーチが、トレーニングの意図を説明する姿は新鮮な光景だ。
「広報カメラ」のコメント欄では「広報有能」というロッテファンの声や、「ウチの球団でもやってほしい」という他球団ファンのコメントがよく見られる。
宮崎・南郷で春季キャンプを行う西武は、球団公式のTwitterとFacebookで練習中の映像を配信。その特徴はノック、ピッチング、バッティングといった通常の練習メニューだけではなく、地道なトレーニングやプロならではの技術を伝えるトスバッティングなど、野球をやっている小、中学生や高校生にもとても参考になるところだ。
ブルペンでの投球練習では、各ピッチャーのフォームをスローモーションで見せたり、牧田和久のアンダースローを、キャッチャーの後方からローアングルで撮影。アンダースローの低いリリースポイントやボールの軌道を見られる映像は貴重だ。
また、ある日は全体練習終了後、「置きティー」を行う中村剛也に密着。ただ打球を飛ばすだけでなく、外野スタンドに置かれたケースを狙う中村の意図からはホームランバッターの矜持が感じられた。
2024年の球団創立90周年に向けて「IT活用」「戦略的広報」の推進を表明している巨人。球団公式SNSも一層充実し、球団オフィシャルの情報発信にも力を注いでいる。
その巨人がこの春季キャンプで行ったのが、ドローンで空撮した練習風景の映像配信。昨年の秋季キャンプでテスト導入され、高橋由伸監督が操縦する場面も見られた。今キャンプから本格的に実施され、雨天時にKIRISHIMA木の花ドームで行われたウオーミングアップや打撃練習の模様がFacebookでライブ配信された。
また、ドローンに搭載したハイスペックカメラで収めた約1分間の映像もFacebookで公開。情報発信への本気度がうかがえる。親会社が読売新聞だけに、日本テレビのイメージが強い巨人だが、球団発信の映像が今後さらに充実していきそうだ。
文=武山智史(たけやま・さとし)