平昌五輪と重なっていることから、例年よりもメディアに流れる情報量が少ない今季の春季キャンプ。しかし、そんななかでも注目ルーキー・清宮幸太郎(日本ハム)に関する話題は豊富だ。
この1週間のトピックというと、やはりダルビッシュ有(カブス)と対面したことだろう。アリゾナでカブス入団の記者会見を行ったダルビッシュが、その足で日本ハムのキャンプ地へやってきて清宮と握手をするなど交流した。
メジャーリーグ行きを将来的な目標に掲げる清宮だけに、先輩メジャーリーガーから新たな刺激を受けた模様。飛躍の糧になるのは間違いない。
巨人の、そして侍ジャパンのエースとして君臨する菅野智之。昨季は最多勝と最優秀防御率の二冠に輝いたが、このキャンプでもさらなる進化を目指してトレーニングに励んでいる。
その1つが右打者の内角を狙うスライダー。昨季の被打率を見ると、左打者の.183に対し右打者は.208と、右打者にやや分が悪い。そのため右打者対策として、新たな武器を仕込もうとしている。
約2分の差は微々たる違いに思えるが、それをよしとしないからこそ、ここまで上り詰められたのだろう。完全無欠の投手に、また一歩近づいていく。
昨季喫した96敗という歴史的大敗から巻き返しを狙うヤクルト。青木宣親を呼び戻すなど力の入れ具合が伝わってくるが、既存の選手の有効活用法も練られている様子。
例えば「1番・山田哲人、3番・青木宣親」のオーダーを生かすため、2番につなぎの上手な中村悠平を置くプランがそれ。プロではなかなか聞かない「2番・捕手」だが、成功すれば下位打線に厚みを持たせられるので、機能するところを見てみたい。
ほかには外野手の坂口智隆を一塁に挑戦させるなど、斬新な複数ポジション案も出ており、どのプランがシーズンで実を結ぶか楽しみだ。
個人のレベルアップもさることながら、チームとしての戦い方が話題に挙がってくるとキャンプらしさがより伝わってくる。必ずしもシーズンでそのプラン通りに進むとは限らないが、準備は大切だ。
間もなくオープン戦が始まるため残り時間は少ないが、どこまでチーム力を高めていけるか。そこにも注目しつつ、キャンプ終盤を楽しみたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)