2014年のドラフトで1位指名され、DeNAに入団した山崎康晃。
ルーキーイヤーとなった2015年、オープン戦では先発起用されるも結果を残せず、中継ぎに配置転換。開幕戦をセットアッパーで迎えることになる。
チーム事情もあり、2試合目の登板となった開幕2カード目からクローザーへ。以降は年間を通じて安定した投球を見せ、新人最多となる37セーブを記録。新人王に輝く活躍を見せた。オフにはプレミア12の日本代表に選出されるなど充実した一年となった。
2年目の今シーズンは開幕からクローザーとして起用。一時、調子を崩したものの登録抹消されることなく、1年間を通じて1軍で役割を全うした。成績は2015年より落としてしまったものの、リーグを代表するクローザーへと成長した。
【2015年シーズン成績】
58試合:2勝4敗/37セーブ/7ホールド/投球回56.1/奪三振66/与四死球12/防御率1.92
【2016年シーズン成績】
59試合:2勝5敗/33セーブ/7ホールド/投球回57.2/奪三振61/与四死球23/防御率3.59
2014年の本誌『野球太郎』による山崎の評価を振り返ってみよう。
『野球太郎No12 2014ドラフト直前大特集号』を取り出してみる。こちらはドラフト前に発行されたものなので、DeNAが指名する前段階での評価だ。
まず、見出しに「リリーフ適性も魅力な即戦力右腕」と書かれている。
当時の山崎は亜細亜大の先発投手として活躍中。2014年秋季東都大学リーグ戦では、6完投の結果5勝を挙げ、防御率は1.94。好成績を残し、最優秀投手、MVPに輝いている。
山崎は亜細亜大の下級生時、大学日本代表ではリリーフを務めたが、ドラフトでは先発ローテーション候補という評価が主だった。即戦力候補とはいえ、中継ぎとしてドラフト1位の枠を使用することは考えにくく、リストアップしていた球団はやはり先発としての起用を考えていたはずだ。
さらに読み進めると、成功イメージとしてはこう記されている。
「先発時はかわす投球で、抑えではストレートで押していく投球。(中略)長いシーズンを考えると先発の一角としてチームに貢献したい」
また、総合評価はA。即戦力度は5段階中最高の5、伸びしろは5段階中の4、持ち球クオリティーの項目では、ツーシームの評価に5段階中最高の5がつけられている。
続いてドラフト後に発行された『野球太郎No13 2014ドラフト総決算&2015大展望号』を見てみよう。
巻頭の「ドラフト指名選手名鑑」の見出しでも「救援適性のある東都のエース」と記されている。ここでも『野球太郎』は救援適性の素質を推している。
そして文中では、育成ポイントとしてこう記してある。
「ツーシームやスライダー、カーブなども交えた投球を見せる先発時より最速151キロの伸びのあるストレートで押しまくるクローザー時の投球スタイルに魅力を感じる」
クローザーを務める山崎は現在、ストレートではなくツーシームで押す投球をみせている。評価は当たっているといえるだろう。
また、DeNAの来季(2015年)の展望を占うページでも山崎の起用法について言及されている。見出しは「リリーフ適性だが気になるドライチ山崎の起用法」。
内容を要約すると以下の通りだ。
・先発で起用される見込み
・リリーフの方が力を発揮できるのではないか
・先発ローテーションは揃っているので、リリーフに回した方がチームに貢献できる
まだプロ入りから2年間のプレーではあるが、山崎は100パーセント、『野球太郎』が思い描いていたとおりに歩んでいるといえる。
来シーズン以降も山崎はクローザーを任されるだろう。今シーズンは数字を落とし、不安要素はある。だが、3年目を乗り超えてくれることを期待したい。
なお、そのほかのドラフト指名選手を見ると、石田健大(法政大→DeNA2位)、有原航平(早稲田大→日本ハム1位)らを高評価。両投手とも順調に成長している。淺間大基(横浜高→日本ハム3位)は「3年後のレギュラーを目指し1番、3番を打てる打者へ」と評されており、栗山英樹監督の3番構想にピタリとハマっている。2017年がその3年目となるが果たして…。
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文=勝田 聡(かつた・さとし)